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「Finding New Value.」がもう1つのMissionとして加わったワケ

トリドールグループ内の事業分社化が本格始動し、新型コロナウイルスの感染が拡大するなど、社内外で大きな変化が続いています。そんな中、トリドールは改めてグループの軸となるMission、Vision、Toridoll-er’s Valueを皆さんと共有しようとしています。

「2025年度、全世界6000店、売上高5000億円を目指す」という中期経営計画で掲げた数値目標は事業会社としてもちろん重要ですが、何よりも大切にしているのは、トリドールの根源的なあり方を示すMissionの徹底的な浸透です。これらを共有することで、今まで以上に一致団結して外食産業に変革をもたらしつつ、人材開発企業としての成長を加速しようというわけです。

そこで今回は特集シリーズとし、粟田社長を筆頭にトリドールグループのリーダーたちからのメッセージをお届けします。

鳶本 真章
昨年、新たに「Finding New Value.」がトリドールのもう1つのMissionとして加わりました。私もこのMissionの確立に参加しましたが、ここで改めて教えてください。2つ目のMissionが生まれた背景などについて。
粟田 貴也
直訳すれば「新しい価値を発見する」ということになります。でも、今の日本の状況を考えたら、少子高齢化がどんどん進むばかり。外食関連事業にしても飽和状態だと思われているところがあり、「市場が今後さらに広がることなんてあり得ない」という否定的見解を示す人も少なくありません。「そんな時代にNew Valueと言ったって……」と笑われるかもしれない。
鳶本 真章
「日本国内の外食はピークを過ぎている。レッドオーシャンだ」と言う人もいますが、違いますよね?「じゃあ、丸亀製麺はどう説明するんだ?」と。
粟田 貴也
そう、その通り。うどんが食べられるお店は、日本中に星の数ほどあったけれど、そんな中で丸亀製麺は800店舗を超えた。一見レッドオーシャンに見える海にだって、新たな需要、新たな価値を創造できるし、そうすればみるみるとブルーオーシャンが広がっていく。
鳶本 真章
今回のテイクアウト実施についても、いろいろ議論をしましたよね。「手づくり、できたて」にこだわった丸亀製麺がテイクアウトなんてするべきじゃない、という意見もあった。けれども、「丸亀製麺がやるならば、当たり前のテイクアウトじゃいけない。でもそれが可能ならばやるべきだ」という逆転の発想もあって実行した。結果、多くのお客様に喜びを提供できている今があります。ここでもNew ValueをFindするための努力が行われています。
粟田 貴也
結局のところ、我々は人の努力や挑戦によって支えられている会社なんです。そう簡単に実現出来ることではないけれども、例えばブルーオーシャンを切り拓いて、100億を作る人材が10人揃ったら、それだけで1000億の会社になれる。そういう単純な計算で考えていいんだと思います。
鳶本 真章
トレンド食の流行がいい例だと思うんですが、一度切り拓かれたブルーオーシャンには後追いの企業が続々と群がっていきますよね? そうして結局は短期的なブームで終わってしまう。おそらく粟田社長が言っているNew Valueとこうしたブームとはまったくの別物ということですよね。
粟田 貴也
これは、ぜひ社員やパートナーの皆さんに理解していただきたいポイントです。飲食業というのはシステマチックにやればやるほどコストも下がって利益率が上がりますし、再現性も高まるから次々に店舗を出していける。同じ味をシステマチックに大量に再現できることがチェーンストアを増やす秘訣であるかのように言われています。でも、再現性が高い料理や飲み物ならば、他社も容易に真似ができてしまう。ブームに乗っただけのお店はまさにそれです。でも、どこへ行っても手に入るし、どれも似たような味でしかない。そうなったら価格競争をして生き残るしかなくなります。「飲食を通じてお客様に喜びをお届けする」なんて話ではなくなってしまう。
鳶本 真章
ところが丸亀製麺で「手づくり、できたて」を信条に「Simply For Your Pleasure.」を形にしたトリドールですから、あえて再現性の高くない美味しさや興奮という喜びを追求します。それなのに社長は「2025年度、全世界6000店、売上高5000億円を目指す」とムチャぶりをする(笑)。丸亀製麺がチャレンジしたのと同じジレンマとの戦いが始まるわけですよね(笑)。
粟田 貴也
そう、「再現性が低くてもクオリティが高く、他にはない付加価値があれば、たしかにお客様を喜ばせるかもしれない。でも、そういう店を急速に増やしていくのは至難のわざだ」と、また言われてしまうでしょう(笑)。でも、そういうジレンマや矛盾点を超えていこうとするところに、ブルーオーシャンは拓けていくんだと思うんですよ。「再現性は低いけれども、間違いなくお客様は喜んでくれるし、二度も三度も足をむけてくれる」というものを創り出したなら、それをなんとか再現して、一人でも多くのお客様に届けようとする。これを楽しめる人材になってほしいなと思います。

同じMissionを皆で共有していきたい

鳶本 真章
最初から再現性の高さを見込んで始めたビジネスからは、Pleasureは生まれなくなっていきますね。少なくともトリドールが目指すNew Valueがそれでいいはずはない。チェーン店なのに、個店にこだわる常連がいる。「私が好きなのは、丸亀製麺の●●店」「いやいや、本当に美味いのは◆◆店だよ」という、こだわった議論がお客様の間で普通に行われている。そんなの他にはありませんよね(笑)。それもまたトリドールの強みを示す現象だったりする。属人性を完全否定していないビジネスモデルだから、各店舗がそれぞれの努力によってお客様と向き合っているし、その結果として常連さんが生まれ、どのお店が好きかという議論も生まれ、それがまた新しい面白味になっていったりしていますよね。
粟田 貴也
もちろん一定のクオリティや、味のレベルは全店クリアしていなければいけない。けれども、その地域のお客様と向き合っているお店にしか気づかないこともあるし、そのために行う創意工夫やちょっとした声かけの変化などでファンが生まれたりする。こういうものを否定してしまったら、お客様は置いてきぼりです。確かにムチャぶりと言われるような数値目標を立ててはいるし、各店舗の店長さんはそれを強烈に意識していることでしょう。でも、数字ばかりを追求するのではなく、『Finding New Value. Simply For Your Pleasure.』を本気で追い求めていけば、必ず数字は後からついてくる。
鳶本 真章
企業が掲げるMissionというものは、へたをするとお飾りの美辞麗句で終わってしまいがち。最前線に行けば行くほど、数字的な目標に追われるような働き方になってしまう。コンサルタント時代の私は、そういう実情をあちこちで見てきました。でも『Finding New Value. Simply For Your Pleasure.』は、第一線の人たちこそが体現できるMissionだと思います。テイクアウトの議論の際にも「丸亀製麺がありきたりのテイクアウトをしていいはずがない」と、ある店舗のパートナーさんが声を大にして言っていました。それを聞いた時、私はめちゃめちゃ嬉しくなりました。
粟田 貴也
いい話ですね。そうなんです、現場の人にこそこだわってほしい。お客様の感度と興奮と驚きがあってこそ本物の繁盛店は成立する、というのを見せてくれることで最前線にいる人だけでなく、トリドールで働くみんなが、このMissionの確かさを強く認識して、突き動かされていく。そんな集団に私たちはなりたいと思います。
鳶本 真章
もちろん最前線といっても、多数の店舗、いくつもの事業、ブランドがあります。Missionを形にするためには、それぞれが自分たちにフィットする価値基準や行動指針を持つ必要がある。それがVisionやToridoll-er’s Valueというもの。この企画では今後様々な立場のリーダーにインタビューをして語ってもらいます。

(つづく)

MVV浸透プロジェクト 企画/編集:浜田 薫

2016年入社。新卒対象の入社式・入社時研修のカリキュラム構築、PS店長/時間帯責任者研修の講師を担当。
その他は、LIFO・HEPライセンス取得。前職(航空会社勤務)での接客知識・技術を生かし、新卒・中途社員からカフェ業態を対象に接客サービス講習を担当。
現在は、組織開発部と人材開発課に所属し、国内外問わず、トリドールグループ全体がMVVでつながる強い組織を目指すために、経営理念・Toridoller’s Valueの発信施策を構築。
次世代経営者や等級別の育成プログラムの構築に取り組んでいる。

MVV浸透プロジェクト 企画/編集:中島 杏子

外資系小売りチェーン広報、製薬会社広報などを経て、2020年6月トリドールホールディンスへ入社。経営戦略本部にてコーポレート広報に従事。トリドールの魅力を広めることにコミットしている。プライベートでは、愛猫(2匹のおばあちゃま)と横浜DeNAベイスターズとヨガとハワイをこよなく愛する。将来は、家族と共に都会と田舎のW生活を送りつつ、ハワイに年間3カ月滞在することを目標としている(ゴールは見えていないけれど本気!)。