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粟田社長が語る、トリドール流マネジメントとは?

企業の成長をドライブする重要な機能としてマネジメントが注目されています。ただ一口に「マネジメント」と言ってもその捉え方は人により、場合により、異なります。「経営」そのものを意味する場合もあれば、「管理職の役割全般」と理解している人も多いため、「きちんとマネジメントができているのか」と問われたとしても、それが何を意味するのか戸惑うケースも少なくありません。
しかし、トリドールが自らを「人材開発企業」と呼び、成果を出していくためにも、あらゆる立場の者がこの「マネジメント」を意識し、共通の理解をもって繋がっていく必要があります。
そこで、このシリーズでは粟田社長をはじめ、いわゆる「トップ・マネジメント」の経営陣に「この会社におけるマネジメントのあるべき姿」や「マネージャーとなった者への期待」について語ってもらいます。第1回は、粟田社長にこのグループの目指すべきマネジメント像について語っていただきました。

 

店長、エリアマネージャー、経営幹部に共通して伝えたい3つの原則

逸見 理紗子
トリドールホールディングスで働くマネジメント層が心得ておくべき「トリドールのマネジメント像」はありますか?
粟田 貴也
あります。私からのメッセージは全員に共通したものとなります。
①強い思いを持ってください
②その思いをメンバーやパートナーさんにしっかり伝えてください
③後進の成長に向け育成に注力してください
この3点が、私の考える「トリドールのマネジメント」の大原則です。
逸見 理紗子
粟田社長らしいですね。まず一つ目から触れていきますが、社長の、ひとつひとつの物事への思いの強さには、いつも驚かされます。
粟田 貴也
そうですか(笑)
逸見 理紗子
はい(笑)この思いを強く持つというのは当たり前なのですが、形のないものなのでつい忘れてしまうこともあると思います。ましてやその思いを周りに伝えていくのにはすごく労力がいりますよね?
粟田 貴也
そうですね。言葉でいうのは簡単ですし、Missionを店舗やオフィスに貼り出すだけで、こうした思いが全員に浸透するのならどんなに簡単なことかと思いますが、そうはいきません(笑)
逸見 理紗子
そうですよね。なぜ社長はこの思いの部分を重要視されるのでしょうか?
粟田 貴也
この「思い」を伝達し、グループを全体最適化していくことこそが、社長である私のマネジメント課題だと考えています。
逸見 理紗子
なるほど。そう考えられるのはなぜですか?
粟田 貴也
社長の私がどんなに大声を張り上げようが、実際にお客様と向き合うのは私ではないからです。各店舗のパートナーさんや店長たちが骨の髄まで強い思いを行き渡らせなければ、「愛され続ける本物の味やサービス」を提供することなんてできませんからね。
逸見 理紗子
そうですね。私も業務をする上で思いというのは大事だなと常々感じています。
粟田 貴也
そうでしょう。冒頭で挙げた3つの原則を最初に「自分の使命」だと感じ、実行したのは私自身なんです。
逸見 理紗子
そうなんですね。
粟田 貴也
来る日も来る日も、「お客様がよろこぶかどうか」にこだわった意思決定をし、雨の日も風の日も「本物、本質を忘れるな」と言葉や行動で伝え続けて来ました。「2025年度に6000店舗を目指すぞ」という大きな数値目標を掲げる一方で、「だからといってトリドールのマネジメントの原点、原則は曲げない」というこだわりも伝え続けてきたんです。
逸見 理紗子
一見、相反する目標ですものね。
粟田 貴也
そうなんです。店を増やすぞと言いながら、それでも本質は失うなと言うことにはある種の矛盾があることは気づいています(笑)。
逸見 理紗子
それでも言い続けてこられたのはなぜですか?一部でハレーションも生まれそうですよね。
粟田 貴也
社員には大変な思いをさせてしまっているかもしれないと思いつつも、矛盾を超えるための努力が、チームを、組織を、強く成長させてくれると信じてやってました。
逸見 理紗子
強い信念ですね。
粟田 貴也
事実、今となっては経営幹部の誰もがこの矛盾を面白がって超えようとしてくれるまでになりました。海外事業をM&Aしようが、国内の飲食事業との連携を考える場であろうが、皆が言います。「手づくり・できたてじゃなきゃトリドールじゃない」と。
逸見 理紗子
すごいことです。本当に今は全社員、全パートナーがそれを共通認識で思っていますよね。
粟田 貴也
私はあまり表立って口にしませんが、「よくぞここまで強い組織になってくれたな」と本当はとても喜んでいるし、誇りに感じています。

 

「お客様のよろこび」を生み出す原動力は「よろこびを感じている従業員」。だからこその「人材開発企業」

逸見 理紗子
思いを持つこと、伝えることも労力がいりますが、育成もこれまたすごく労力がいりますよね。
愚問だと思いますが、トリドールがヒトの育成を重視するのはなぜでしょう?
粟田 貴也
トリドールグループにとって唯一無二の資産がヒトだと考えているからです。
逸見 理紗子
といいますと?
粟田 貴也
どんなに企業規模が大きくなろうと、いや大きくなったからこそ、一人ひとりのヒトとしての価値を最大化していかなければいけないと考えています。
逸見 理紗子
トリドールの成長にはヒトが不可欠ということですね。
粟田 貴也
そうです。「トリドールが追い求めるべき本質」を共有し、理解したヒトの集合体となることでしか、私たちの成長はあり得ないと考えているからです。そのためには、先ほども話したように私一人がマネジメントの一環として「思い」を伝えるのではなく、マネージャーでありリーダーである役割を担うヒトたち、つまり各店舗の店長、エリアマネージャー、分社化した各事業会社のリーダー陣やホールディングスで経営に携わる幹部たちもまた「思い」を伝える仕事に、これまで以上に強い意識で取り組んでいく必要があります。
逸見 理紗子
思いを伝染させていくのが肝心だということですね。
粟田 貴也
「お客様のよろこび」すなわちCSを何よりも大きくしていくのは「最前線の従業員すべてのよろこび」すなわちESに他なりません。そしてESを最大化することこそがマネジメントという仕事の最優先事項です。
逸見 理紗子
それは本当にそう思います。簡単なことではないですが。
粟田 貴也
少なくともトリドールではそうなのだと言いたいですね。近年私が「トリドールは人材開発企業です」と意識的に発信している背景もここにあるんです。
逸見 理紗子
なぜここまで言い切るのでしょうか?
粟田 貴也
はい、我々は「手づくり・できたて」という「本質、本物」を追求し、きわめて属人性の高い世界で勝負する集団だからです。
逸見 理紗子
なるほど。
粟田 貴也
もちろん、ITやデジタルなど、最新技術を有効に活用して売上や利益を上げていくのもマネジメントの役割だと認識していますが、やっぱりトリドールの本質部分はヒトによるところが非常に大きい。そして、彼、彼女らの技術力を上げていくのもマネジメントの仕事ですが、それよりもまず彼、彼女らが「よろこびを感じて働ける」ようにしなければ、お客様に「本物」を届け続けることなんて不可能です。
逸見 理紗子
ESの最大化ですね。
粟田 貴也
だから言うのです。「強い思いを持ってください」と。
逸見 理紗子
それは本当にトリドールの文化というか、私も入社してからずっと言われてきて、どの業務に対しても細かい部分にまで思いを持つように意識し続けています。
粟田 貴也
マネジメントとリーダーシップとを担う当人が、まず強烈な当事者意識とモチベーションを備えていなければ「その思いをメンバーやパートナーさんにしっかり伝える」ことなんてできませんから。

 

どんなに大規模になろうと、軸を共有し共に成長していくことこそがトリドール

逸見 理紗子
この思いを伝えることは結構難しいと感じるのですが、社長はどのように意識されていますか?
粟田 貴也
難しいですよね。すごくパワーも使いますから。私は、自らが高いモチベーションとオーナーシップによって動き、「思い」を体現する存在になってほしいと考えています。そして我々ならではの戦い方を店舗のパートナーさんや、チームのメンバーと共有する働き方をしてほしい。それこそが最善の「伝え方」だと考えていますし、そこに加えて「後進の成長に向け育成に注力」してもらいたい。
逸見 理紗子
後進の成長、ですか?
粟田 貴也
ヒトが資産であるトリドールでは、あらゆる立場のヒトが成長していくべきです。成長するということは、今担っている役割を超えて、さらに大きな役割、あるいは新しい役割を担っていけるようにならなければいけません。
逸見 理紗子
そうですね。
粟田 貴也
そしてそれを「よろこび」だと感じられる組織にならなければいけません。役職には上下などなく、役割の違いを示すものでしかない、という考え方がトリドールにはありますが、例えば今店長を務め、マネジメントに携わっている人には、次期店長を育てる使命もあるのだということを自覚してほしい。
逸見 理紗子
今よりも一段階高い視座を持つということですね。
粟田 貴也
はい。そうして続々と店長候補、マネージャー候補、幹部候補が育っていく状況を生み出すのもマネジメントの重要な仕事です。
逸見 理紗子
そのような素敵な連鎖が続くトリドールであり続けたいですね。
粟田 貴也
そうなんです。マネジメントに携わる者がその成功体験も失敗体験も、メンバーの皆と共有し、ともに成長していける環境をこのグループに行き渡らせることが何よりも大切だと考えています。
逸見 理紗子
なるほど。
粟田 貴也
そういう体験の共有にこそ「成長するよろこび」があるんです。この「よろこび」の共有が、トリドールを強くしていきます。皆がブレることなく、同じ価値観、同じ基軸を共有して成長していけると信じています。
逸見 理紗子
この「よろこび」で強い幹を作れば、あとは木の年輪のように組織はどんどん強くなりますね。
粟田 貴也
例えばホールディングスをはじめとして、多くの外部人材もトリドールに参画してくれるようになりました。彼、彼女らは、それぞれ過去に培ってきた貴重な経験と能力と知識を持っていますし、その強みを発揮してほしいからこそ入ってもらった人たちですが、やはり同じように本質にこだわり、お客様を原点とする発想のもとで活躍してほしい。ですから、この人たちにも最初に掲げた3つの原則を守ってほしいとお願いしています。
逸見 理紗子
同じ原則のもとで動かなければ組織はばらばらになりますからね。
粟田 貴也
そう。同じ原則のもとで、トリドールならではのマネジメントを貫いていくことで、どんなに規模が大きくなり、多様な人材の成す集団になろうとも私たちは軸を共有していけるはずです。
逸見 理紗子
これからも成長し続けるトリドールではとても重要なことですね。
粟田 貴也
今後、様々なマネジメントの担い手が発信をしていくでしょうから、彼、彼女らの言葉に耳を傾けてください。役割の違いから様々な声も聞けるでしょうけれども、私が何より発信したいのは「思い」を通じてヒトを育てる、それこそが私の、トリドールのマネジメントだということです。

今回、大変貴重なお話を伺うことができました。粟田社長の思いの強さは常々感じているところですが、改めてその重要性を再認識させられました。次回は、株式会社トリドールホールディングス鳶本CHROと、株式会社肉のヤマキ商店 恩田社長のお二人の対談です。乞うご期待ください!