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株式会社トリドールD&Iってどんな会社? 実は、釜揚げうどんのアレに関わる業務まで担っていた!

「株式会社トリドールD&I(以下、D&I)」は、2016年に設立されたトリドールグループの特例子会社(※1)です。
社名は知っていても、トリドールグループの中でどんな役割を担っているのかまで知らない方もいるのでは・・・
ということで、今回はD&Iについて、業務部長の小国政さんに伺いました。
(※1)特例子会社とは・・・「障害者の雇用の促進等に関する法律(障害者雇用促進法)」に定義される、障がい者に配慮した子会社のことです。障がいを持っている方それぞれに事情があり、働く上で、個々に応じた配慮が必要になります。そうした障がい者の働きやすい職場の実現に特化しているのが、「特例子会社」です。

会社概要

商号:株式会社トリドールD&I
事業内容:トリドールグループの特例子会社
設立:2016年10月3日(特例認定:12月26日)
従業員数:140名(社員6名、スタッフ110名、トレーナー24名)

社名のD&I

D&Iとは、Diversity&Inclusionの頭文字です。Diversity (ダイバーシティ)とは、多様性、Inclusion(インクルージョン)には受容と言う意味があります。違いを乗り越え、誰もが挑戦できる会社にという想いが込められています。

 

D&Iが設立された経緯、現在のミッションとは

逸見 理紗子
D&Iが設立されたのはいつ頃ですか?
小国政 勝己
まず、トリドールグループが障がい者雇用を本格的に開始したのは2011年9月のことで、グループ全体の事業規模と業績が急成長していた頃です。
逸見 理紗子
2011年9月というと・・・丸亀製麺が国内500店舗を達成したばかりの頃ですね。
小国政 勝己
そうです。店舗は次々とオープンして、雇用者数が増加する一方で障がい者の雇用は進んでいませんでした。
逸見 理紗子
なぜ、進んでいなかったのでしょうか。
小国政 勝己
当時は障がい者の採用・受入れがあったのは神戸本社のみ(事務補助人員としての採用のみ)で、店舗で働く環境を作り出せる専門的な社員がいなかったからです。
逸見 理紗子
障がい者雇用は、法定雇用率が定められていると思いますが、当時のトリドールの雇用率はどの程度だったのでしょうか?
小国政 勝己
当時の法定雇用率(障害者雇用促進法43条)は1.8%でしたが、トリドールは1.2%と乖離していたんです。
逸見 理紗子
会社の急成長に追いついていなかったんですね・・・
小国政 勝己
そうなんです。そこで、障がい者の雇用について本格的に見直す必要性を感じ、トリドールの人事部で行っていた障がい者雇用関係業務を専門として行う会社を設立しようという運びになりました。


株式会社トリドールD&I 業務部長/小国政 勝己
社会に出て8年間アパレル業で営業担当に従事。その後、外食チェーンに11年間勤務し営業部MGR、訓練課課長を経験。
2011年4月に㈱トリドールへ入社。丸亀製麺でCMGRを経て2016年10月に㈱トリドールD&Iの設立から携わり現在に至る。
D&Iを外食業の特例子会社の中でリーディングカンパニーにすることを目指し、会社と社会の役に立ち魅力ある仕事の創出を積極的に行っている。

 

逸見 理紗子
なるほど。ちなみにその後のトリドールの雇用率はどう推移しているのですか。
小国政 勝己
2012年に障がい者雇用を本格的に始動し、店舗でできる業務を開発するなどして、2015年には法定雇用率を上回りました。その後は徐々に上昇し、現在は法定雇用率2.2%に対してトリドールグループは2.35%となっています。
逸見 理紗子
今後も法定雇用率を上回るよう取り組んでいけそうでしょうか。
小国政 勝己
もちろん法定雇用率をクリアしていることは会社として大事ですが、そのためだけに設立したのではありません。社名であるD&Iにも込められている通り、働く場所の提供だけでなく、「同じ人として隔たりのない職場環境づくりを行い、会社と社会に貢献すること」をミッションとしています。

トリドールを支えるスタッフの活躍

逸見 理紗子
スタッフの皆さんの、実際の業務内容を教えていただけますか?
小国政 勝己
はい。障がいを持つスタッフは、基本的に店舗業務で、約8割が清掃、残り2割が調理補助、その他に神戸オフィスでの事務代行なども行っています。
逸見 理紗子
業務にはトレーナーの方が引率されるのですか?
小国政 勝己
はい。例えば清掃業務では、スタッフ4~9名に専属トレーナーが1名引率して行っています。内容は客席を中心とした机、床、窓、座敷、植え込み等、お客様の目につきやすいところをチーム全体で仕上げ、店舗スタッフの方々が営業に専念できるように配慮しています。清掃の仕上がりレベルは非常に高くて、担当店舗以外のお店からも依頼があるほどなんです。


清掃の様子

逸見 理紗子
調理補助と事務代行についても教えていただけますか。
小国政 勝己
はい。調理補助は「とりどーる」での仕込み作業です。1店舗につき、1~2名の配置で、串刺しや計量などの焼き鳥の仕込み、厨房機器の洗浄などを行っています。事務代行については、神戸オフィスで資料のラミネートや書類の封入、発送作業、労働組合からの送付物を店舗に送る作業もお手伝いしています。
逸見 理紗子
店舗に届いていた労働組合からの冊子も、D&Iの方が発送してくださっていたかもしれないんですね。
小国政 勝己
はい。実は他にも、最近、丸亀製麺に深く関係する業務を始めたんです。
逸見 理紗子
丸亀に関わること・・・うどんの仕込みなどでしょうか?
小国政 勝己
いえ、違います!うどん教室のキット受発送業務や、丸亀製麺で使用している釜揚げうどん用の木桶を修理メンテナンスしています。
逸見 理紗子
え~!あの木桶の修理メンテナンスまで!ちなみに月にどのくらいの数をメンテナンスされているのですか?
小国政 勝己
まだ検証段階ですが、受け付けている店舗は約40店舗、月間約70~90個の修理を行っています。
逸見 理紗子
想像以上の数です。作業はどこで行っているのですか?
小国政 勝己
実は今年4月から、丸亀製麺加古川店の近くに作業所を設けて行っています。以前は業者さんに桶の修理や新たな発注をしていたのですが、年間で約4千万円もかかっていたそうなんです。
逸見 理紗子
4千万円も!
小国政 勝己
そうなんです。そこをどうにか抑えられないかという話で始まりました。以前は使える物でも廃棄してしまっていたこともあったんです。
逸見 理紗子
そうですよね。まず修理していることすら発想できませんでした。具体的には桶をどのように修理するのですか?
小国政 勝己
うどん桶の外側に輪がついていますよね。その輪を箍(たが)と呼ぶのですが、箍が外れてしまうことがあるんです。それを新たに作り直したり、湯漏れの修理や、劣化により黒ずんできてしまった桶に磨きをかけるなどしています。


うどん桶の修理の様子

うどん桶修理前後

逸見 理紗子
使用できない桶はその都度修理しているのですか?
小国政 勝己
適正在庫をローテーションさせているので、常に稼働している状態です。
店舗から修理してほしい旨の連絡が来たら、営業に支障をきたす前に、修理済みの桶をすぐにお店に発送し、使用できない桶が届いたら修理するというフローになっています。
逸見 理紗子
なるほど。営業目線でスピーディな対応ができているんですね。
小国政 勝己
そうですね。本格稼働に向け様々な工夫をしているところです。リサイクルという意味でも社会貢献できる第一歩になったと思っています。

現場の頼れるリーダー、トレーナーの役割

逸見 理紗子
続いて、トレーナーの業務について伺いたいのですが、トレーナーの方もD&Iに配属されている方ということで間違いないでしょうか。
小国政 勝己
はい。トレーナーもD&Iの一員です。4~9名のスタッフに対し、常時1名のトレーナーがついてサポートしています。メンバー全員が質の高い作業ができるようにマンツーマンで個別指導を行うほか、全体を見て清掃業務の進捗確認などを行います。他にも、仕事の相談や社会人としてのマナーを身に付けられるようサポートを行ったり、悩みを聞いたりと多岐に渡ります。
逸見 理紗子
トレーナーも重要な役割を担っているんですね。
小国政 勝己
そうなんです。トレーナーの活躍により、スタッフは仕事に集中することができ、エキスパートへと成長を遂げることができるんです。
逸見 理紗子
責任重大ですね。私は学生時代に障がいを持つ方と一緒に働いた経験があるのですが、どういったことに配慮すべきなのか、何が正解なのか分からず、非常に難しかったです。
そういった経験から、スタッフの方々をエキスパートへと育成できるトレーナーって凄いな、と思います。
小国政 勝己
トレーナーの業務は難しいという印象をお持ちの方は多いと思います。もちろん、個々の特性に応じた配慮が必要です。ただ、トレーニングする際に配慮が必要なのは、障がいのある部分のみなんです。
逸見 理紗子
なるほど。私の場合は、過度に気を遣い過ぎていたのかもしれません。
小国政 勝己
スタッフのほとんどが、見た目では障がいを持っていることが分からない方です。例えば、その場の空気を読むのが苦手だったり、人見知りが激しい、複雑な事を覚えられない方などです。なので、トレーナーは、障がいを持っているというよりも、他の人より苦手な分野がある、という認識でいることが大切です。過度に手助けしようと考えず、それぞれが苦手な部分を受け入れる気持ちを持ち、スタッフが困っているときにサポートできれば、エキスパートへと導くことができると思います。

これからのD&I

逸見 理紗子
最後に、今後D&Iが目指すものについて教えてください。
小国政 勝己
はい。うどんの木桶の修理を始め、まだまだ検証段階の業務が多いため、本格的に稼働できるよう進めて参ります。
障がい者雇用を「義務」や「ボランティア・福祉」の位置づけで取り組むという事例が多いのですが、D&Iのミッションは、「同じ人として隔たりのない職場環境づくりを行い、会社と社会に貢献すること」です。メンバーの才能や本気を引き出し、「D&Iにしかできない仕事」で、トリドールグループや社会に価値を提供する会社を目指し成長していきます。