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新卒の集合研修を一度すべてストップ。 “内省”から芽吹いた新たな発想。

2013年度より新入社員の入社時研修・フォローアップ研修を行ってきた人材開発課ですが、実は昨年6月以降、すべての集合研修の実施を一度ストップ。
その大胆な判断と意図について、これまでの研修を振り返りながらお話を聞いてみました。

―「果たしてこの研修から誰が、何を、学んでいるのだろう?」

古里 栞
昨年の6月以降から例年実施されていた集合研修を一度ストップされたとのことですが、そのような判断に至った背景を教えてください。
財田 純平
新卒の入社者数は年々増えていて、1期生は30名ほどでスタートしましたが、6期生からは100名を超えるようになりました。「こんな人に育ってほしい」という求める状態を決めて、世代やキャラクターなどを採用情報から集めて実施していましたが、未知の部分や根拠が弱いまま進めているところが多々あり、そういった部分を残したまま全体的な教育になっていました。


財田 純平
2002年入社。創業業態であるとりどーる業態で店長、MGR、CMGRまでを経験。
その後、人事の教育部門へ異動し、中途社員と新卒社員を中心とした研修カリキュラム構築と講師を担当。
国内だけではなく、海外の教育部門にも携わり、台湾現地でもカリキュラム作成を行った。
現在はトリドールホールディングスの組織開発部人材開発課に所属し、国内の社員を中心とした育成に尽力しながら新たな育成について悪戦苦闘中。
特に、「トリドールらしさ」と「未来を創る育成」を中心に、強い人材と強い組織を開発することを目標としている。

浜田 薫
“新卒ってこうだよね“”中途社員ってこうだよね“という既成概念を払拭しきれないままの教育構想で行っていたことに違和感を持ち始めました。対象者や人数、外部環境が変わっても育成プランが大幅に変わることなく進めている状況や、変えることへ疑いを持てていない教育側の見直しも必要だと強く感じ始めたことも大きかったです。

浜田 薫
2016年入社。新卒対象の入社式・入社時研修のカリキュラム構築、PS店長/時間帯責任者研修の講師を担当。
その他は、LIFO・HEPライセンス取得。前職(航空会社勤務)での接客知識・技術を生かし、新卒・中途社員からカフェ業態を対象に接客サービス講習を担当。
現在は、組織開発部と人材開発課に所属し、国内外問わず、トリドールグループ全体がMVVでつながる強い組織を目指すために、経営理念・Toridoller’s Valueの発信施策を構築。
次世代経営者や等級別の育成プログラムの構築に取り組んでいる。

財田 純平
また、昨年6月の新入社員に対して実施した入社後フォローアップ研修の様子を見ていて、ふと、“全員に対し画一的なのことをしてしまっているな”と。入社後2か月の時点ですでにできることも、本人たちが求めていることも違う中で、ひとつのレイヤーに合わせた講習内容になっていたことに気づいたんです。
古里 栞
自分が求めていることと合っていないと研修は退屈に感じてしまいますね。
財田 純平
人数も多いので、“まずは平均点を取りましょう”という研修になってしまっていました。個々に対するアプローチをしきれないまま、結果として“離職も止まらない”“どれくらいのスキルアップをしたかどうか不透明”という状態でした。
そもそも入社時の年齢やバックボーンも違うし、時間の経過と共に考えや将来目指す方向性もそれぞれ変わってくるにも関わらず、一括りに“新卒”としていたことが一番の反省点でした。
19卒には大変申し訳ないのですが、こういった理由から全員の集合研修を一度中止させ、教育側の意識改革と、教育スタンスの見直しを始めました。
浜田 薫
中止判断を行った際には、新入社員が所属する営業部の部長・CMGR・MGRへ1人ずつ連絡を入れさせていただき、教育方針の見直しについての説明と合わせて、教育に対する現場の考え方、現状についてヒアリングをさせてもらいました。そこで、我々自身が、顧客意識の低さを改めて痛感しましたし、本来もっと情報を自分たちから取りに行き連携して育成を進めるべきだという基本的なことを見直す良いチャンスとなりました。

―「新卒」というグルーピングではトリドールらしさがないのでは?

古里 栞
最終的に、研修ストップの決定打になったことは何でしたか。
浜田 薫
もう「新卒」では“括れない“と思ったのが、集合研修を止めた最終的な決定打です。20~30名の小規模であれば、担当講師が個々の特性を把握して、フィードバックも多様にできます。しかし、16卒くらいから70名、17卒・18卒が100名以上となった時に、平均的なフィードバックもできないし、研修内での受講者間の温度差も激しく出ていると感じました。
財田 純平
一括りに新卒というグルーピングになっていて、これはもうただ会社の「研修を実施している」「新卒教育をしている」という自己満足なのではと感じました。
入社して、出会った社員に影響を受けて「自分もマネージャーへ早く上がるにはどうしたらいいか」を考えている人もいれば、方や「自分のペースで1つずつ習得をしていきたい」という人もいる。様々な方向性があるにも関わらず、全てを一括りにしていました。共通項目を学習するには必要なことかもしれませんが、本当に彼らに対しても、一緒に働く営業部にとっても良質な育成プランではないですよね。
古里 栞
入社時期が一緒なだけで、描いているプランは入社時から既に分かれていますよね。
浜田 薫
そうです。たまたま入社のタイミングが一緒だっただけで、もう別ルートを目指しているのであれば、そこに合わせた教育機会をつくり、より実現できる道をつくっていくことが我々には必要だと感じています。私たちがやっていたのは、大学で学びたい方と、専門学校で学びたい方がいる中で、人数が多いほうに合わせた育成しか提供できていなかったなと感じました。そして、インプットすることに関しては、共通項目と一緒に、各レベルや求める内容に合わせた育成機会を提供したいと考えるようになりました。

―同期の良さを生かすも殺すも会社次第

財田 純平
また、集めるタイミングも見直す必要が出てきました。
こうした研修においては、“同期に会える場“として、久しぶりに会うことでモチベーションを高めたり、同期同士で切磋琢磨したりと、良い方向へ進める機会にしたいと考えていました。しかし、同期に会うことでネガティブな方向へ進んでしまうことも現実です。
浜田 薫
”辞めたい”と本気で悩んでいるときに「強制参加だから」と行きたくない気持ちを抑えて集合研修へ参加させる状況を生んでしまう、悩んでいる同期からの相談に対して周りが同調してしまい、伝染してしまうということがありました。辞めて新しい道へ進むことは応援してあげるべきことですが、入社してまだ間もない頃は、辞めたいと思っている子のオーラを跳ねのけられるほど会社に対してのコミットがない状態なので、それに引っ張られてしまいます。
古里 栞
気持ちが引っ張られてしまうこと、わかりますね。私も前職の同期とはほぼ会っていませんでした。会えば仕事の愚痴を聞くことになってしまいますからね。(笑)
浜田 薫
あと、研修中に同期同士もお互いを思いやるがゆえに気を遣いあってしまうこともあります。同期の力になりたいからと、頑張りたい気持ちを抑えて、あまり不安でないことも不安を持っているようにふるまってみたり、研修に興味がないふりをしてみたりと傷つけないように考えた行動が、かえって自分を一番我慢させてしまい自身のモチベーションを下げてしまう状況が出てしまいました。
古里 栞
本当は、全力で前へ進みたい、いろんなことを習得したいと思っている方もいますよね。
財田 純平
研修内容もそうですし、集めるタイミングもこのように思い悩むこともあって、すべての研修を中止しました。

―研修は手法のひとつであるということを再認識

古里 栞
では、人材開発課としては今後どのような対応をされるのでしょうか。
財田 純平
我々にとっての「お客様とは誰か」を明確にし、目的に合わせた育成体系をつくっていこうとしています。
浜田 薫
新入社員一人一人がどこにいても活躍するようなサポートをすることが我々の仕事なので、研修実施はあくまでも手段で、本来の目的に合わせて研修以外の方法も持ち合わせていくことを今後は進めていきます。
財田 純平
これまでは、我々から現場に対しても必要な情報の収集や開示が足りていなかったことも大きな気づきでした。
浜田 薫
実際に直接ヒアリングや会話をさせてもらうことで、「あ、一緒のことを考えていたね」という認識合わせができたり、今後一緒に動いていきたいことも伝える機会を増やせました。私たちの思いや動きをオープンにしているようで全然オープンにしていなかったために誤解もたくさんあったと思います。
財田 純平
教育の現場に異動してきて、前任から引き継いだ際も営業部との隔たりはあるなととても感じました。今後はもっともっと必要とされる存在になるよう一緒に進めていきたいです。

―これまでの経験を踏まえた今後の研修について

古里 栞
今後はどのような方針で活動されるでしょうか。
財田 純平
会社が成長しているのに教育部分だけ取り残されて、20年前のことをやっているなんてことはなくさないといけないと考えています。
浜田 薫
常に変動的に、情報をアップデートしながら我々も教育について向き合っていきます。
その前提で、繰り返しになりますが、自分事と捉え、目の前にある問題・未来に向けての課題に対して、何が必要で、どうしたらいいかを考え抜き行動し続ける必要があるだと思っています。まさに、私たち育成メンバーが経営理念とToridoller’s Valueの理解を深め、体現していけるようチャレンジし続けるつづけることですね。
財田 純平
新入社員には、これまでの課題の強制や、全員実施の面談を辞め、面談の要否さえも本人たちに考えさせ、要否それぞれの理由を答えてもらっています。
浜田 薫
彼らなりにちゃんと考えがあり、それは想像以上に意思のあるものです。
彼らを信じて、よりトリドールで輝いた姿がお客様に届いていくようにサポートしていけるように私たち自身も考え臨んでいきたいと思います。