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ダイバーシティ&インクルージョンについて粟田社長と語ったら、個性の価値や生き方についての話になった。

昨今、コロナ禍の影響でそれぞれの働き方や生き方について改めて考える機会が増えてきた。
また、女性活躍や外国人労働者も増加している中で、日本も「※ダイバーシティ&インクルージョン」と向き合う頻度も徐々に加速してきている。
今回は、粟田社長との対談を設けさせていただき、「会社」「組織」「役割」だけでなく、「個」「自分自身」に焦点を当ててトリドールの今後を考えていきたいと思う。

ダイバーシティ&インクルージョンとは?

ダイバーシティ:多様性という意味。性別や年齢、国籍、文化、価値観など、さまざまなバックグラウンドを持つ人材がいることを指します。
インクルージョン:受容という意味を指し、多様な人材が個々を認め合いながら成長し合う姿を示します。

ダイバーシティプロジェクトマネージャー:前辻 あゆ美

2014年4月に新卒2期生で入社。採用企画課に配属後、主に大卒・高卒採用業務を担当。
現在は、採用業務の他に、ダイバーシティ推進プロジェクトや外国人採用の立ち上げにも携わり、グループ全体での国籍・性別などを超えた働き方構築に日々奮闘中。
チャレンジ精神旺盛な会社だからこそ、「“興味”や“好き”を大切に、自分で築くキャリア。自分らしく歩む」ことを入社時からモットーにしている。

同一化から多様化へ?今のトリドールに必要なものとは。

前辻 あゆ美
コロナの影響も後押しし、働き方や生き方について考える人が増えたかと思います。
粟田 貴也
そうですね。これまで常識とされてきたことを疑って、フラットに物事を考えられるようになったと思います。
前辻 あゆ美
トリドールは創業して35年、時代もトリドールも大きく変化してきましたが、改めてこの時代、そしてこれからの「働き方」には何が求められると考えられますか?
粟田 貴也
そうですね。まずは、時代の変化に伴い、価値観が多様化してきていると感じています。
前辻 あゆ美
具体的にはどのように多様化していると感じますか?
粟田 貴也
創業当初は「集団」というものがとても重要視されていたように思います。
前辻 あゆ美
「集団」ですか。
粟田 貴也
ええ。価値の同一化といいますか、人と同じことをするということに安心感などがあったように思います。
前辻 あゆ美
なるほど。創業当初ならではっていうのもあるかもしれませんね。上場を目指すには結束感も必要だったでしょうし。
粟田 貴也
そうかもしれませんね。当初と比較するとだんだんそれらがいい意味で薄れ、個というものを社員みんなが強く考え出したんじゃないかなと。
前辻 あゆ美
個性を生かした働き方ですね。
粟田 貴也
はい、個性、つまりは自分として“どう生きるか“っていうことが重要視され始めましたね。
そうした動きもあり、2019年に渋谷へオフィスを移転し、ABWと取り入れた環境を従業員に提供しました。
前辻 あゆ美
トリドールはスーツから私服、一般的なオフィスからABWを取り入れたオフィスへと様々な変化を遂げてきましたよね。働くスタイルもそうですが、考え方など、多様性を許容することで、組織にばらつきなどは出なかったですか?
粟田 貴也
むしろプラスになったと思っています。
前辻 あゆ美
それはどんな点で感じられますか?
粟田 貴也
みんなが同じ視点で物事を見ていると、気づけないことがあります。
それが個性や個の価値観を重要視し始めてからは、様々な風景を見れるようになったと感じています。
前辻 あゆ美
風景、面白い例えですね。
粟田 貴也
そう(笑)大勢いるのにみんな同じ方角の景色を見ていたら勿体ないんですよね。
前辻 あゆ美
なるほど。たしかに、旅行に行っても全員同じ写真を撮ってた、っていうのは面白くないですね(笑)
粟田 貴也
その通り!(笑)だから、企業によってさまざまなフェーズがあると思うけど、今のトリドールは、同一化ではなく、多様性を許容できるフェーズにきているのだと思います。

個性には価値がある。

粟田 貴也
現在日本だけでなく世界を含めて言えることは、“持続的な成長“というのが重要視されています。
前辻 あゆ美
SDGsですね。
粟田 貴也
そう、SDGsにもあるように地球の寿命や、資源を守るのもそうですが、改めて物事一つひとつの価値について考えさせられる機会が多いように感じます。
そういった中で、個性という価値もしっかりと考えていかなければならいないと考えています。
前辻 あゆ美
なるほど。
粟田 貴也
また、日本社会において、世界では類を見ないくらい少子高齢化が進行しています。
労働者の層も変化していますし、一人ひとりの生産性を高めなければいけない。
そのためには、企業として、生産性が高められるような環境を提供する義務があると思うんです。
前辻 あゆ美
一人ひとりが働きやすい環境ですね。
粟田 貴也
そう。女性や外国人、育児や介護に携わる人などといった属性に捉われず、社員一人ひとりにとって働きやすい環境を提供しなければと考えています。つまり、デモグラフィー型*1ではなく、タスク型*2の考え方です。

考え方の種類

*1デモグラフィー型 … 性別・国籍・年齢など、属性の多様性(例:「女性だから))
*2タスク型 … 能力・経験・知識など、実力の多様性(例:「女性ならではの視点や価値観」)
前辻 あゆ美
なるほど。でも、一人ひとりに対して、っていうのはすごく困難なような気もします。

粟田 貴也
そうですね。でもそこを目指さなければいけないと思っていて、特にトリドールは、個性が生きる店舗運営をしていますから、属性という考えでいてはいけないと思っています。
前辻 あゆ美
たしかに。また、それぞれのお店で人(従業員)にファンがつくのも強みですよね。
とりどーる創業時に、社長に会いに来られるお客様がいらっしゃったように今では各店舗で多くのファンを創出しています。
粟田 貴也
そう。だからトリドールは属性とかではなく、社員一人ひとりが個性を発揮し、働きやすい環境を目指すべきだと考えています。
前辻 あゆ美
そのために考えられていることはありますか?
粟田 貴也
考え方としては、まずは個を確立するということ。
前辻 あゆ美
個の確立とは、粟田社長は具体的にはどのようにイメージされていますか?
粟田 貴也
自分がどう生き、どう働きたいか、ですね。

前辻 あゆ美
どう生きたいか、ですか。
粟田 貴也
そう。まずは人生という単位で自分がどうありたいか、つまり、どう自己実現したいかですね。
前辻 あゆ美
たしかに、これが全くないと“会社にただ雇われている人“になってしまいますし、自己実現が会社の方針とずれていたら辛いですね。
粟田 貴也
企業は自己実現のために環境を提供することはできますが、それ以上のことはできません。
自分がどう生きたいか、どう働きたいか、自己のビジョンをしっかり持つこと、個性を重要視する上ではこれがまずは重要だと考えています。
前辻 あゆ美
なるほど。自己実現や自己のビジョンがないと、周りは知ろうにも知ることができないですもんね。
粟田 貴也
そう!今言ってくれた通り、そのビジョンを周りと共有するということが大事です。
前辻 あゆ美
周りと共有ですか。
粟田 貴也
業務だけのやり取りでは、お互いを理解するのに限界があります。
トリドールには1on1やチェックインなどの面談制度が整っていますが、こういった自己のビジョンを共有する場としてぜひ活用し続けてほしいと思っています。
もちろん干渉されたくない場合は、干渉しないで欲しいと伝えるのも大事です。
前辻 あゆ美
自己のビジョンを明確にし、周りとそれを共有し、自己実現を目指す。
粟田 貴也
一つの会社の中にも、多様な目的をもって働いているイメージです。
上に行けないものは劣るという見方ではなく、自分らしく生きているという方が価値を生む時代ですし、トリドールもそこに重きを置く会社です。
前辻 あゆ美
個性の価値を尊重するとなると、新しく導入された人事制度のように役職や年齢というのはあまり重要視しないということでしょうか。
粟田 貴也
そうですね。最低限の礼儀はもちろんありますが、私としては社員やパートナーという区別も本来はなくすべきだと思っています。
そういったことに捉われない集団、みんなが役割をもっていて、支えていけるような集団を目指したいです。

仕事もプライベートも常にオンがいい。

前辻 あゆ美
ここまでお話してきて、自己のビジョンの重要性や個性の価値が高い会社だとわかりました。社長のプライベートの目標というか、普段意識されていることなどはありますか。
粟田 貴也
私の場合、ひとつの会社の成長がある意味自己実現なんだけど。
やはり、豊かな人生を過ごしたいと思っていますので、これは仕事だけでは手に入れられないと思っています。
前辻 あゆ美
はい。
粟田 貴也
仕事を一所懸命するのは素晴らしいことですが、人生を振り返った時に仕事以外のことに目を向けてこなかった、というのは少し寂しい気もします。
前辻 あゆ美
そうですね。高度経済成長の時代と少し変わってきているかもしれませんね。
粟田 貴也
はい、仕事は一所懸命する、プライベートも充実させる、また、プライベートの充実が仕事をする上での活力になるというように相乗効果を生むことが大事だと思います。
前辻 あゆ美
社長のプライベートを少しお伺いしてもいいですか?
粟田 貴也
そもそも、仕事とプライベートを分けて考え、よくオンオフなんて言葉を聞きますが、私は仕事もプライベートも常にオンの状態と考えています。
前辻 あゆ美
休みがない、という感じでしょうか?
粟田 貴也
いえ、休みがない訳ではなく考え方としての話です。“プライベートがオフ“にならないようにしています。プライベートも常にオンの状態と考えてます。
前辻 あゆ美
面白いですね。では、その豊かな人生のために何か最近されたことはありますか?
粟田 貴也
最近はね、ちょっと豊かになろう思って、オペラ鑑賞に行きました。私にはちょっと合ってなかった…(笑)
前辻 あゆ美
(笑)社長は普段から、ジョギングもされてますよね?
粟田 貴也
ジョギングは飲みすぎ食べすぎの自分に懺悔のためにやってる・・・(笑)
前辻 あゆ美
懺悔だったんですね。(笑)もっとキラキラしたものだと思ってました。(笑)
粟田 貴也
でも、新しいことや知らないことに目を向けることは大事だと思っていて、仕事に忙殺されずにその時間を作ることも大事。私にはジョギングもそのためのひとつの工夫です。
前辻 あゆ美
なるほど。やっぱり意識的に取り入れていくのは大事ですね。
粟田 貴也
あと、やっぱりストレスたまるよね。情報が多すぎて処理しきれない。
ひとり豊かに生きようと思ってもいろんなノイズが入ってくるから、昔に比べると豊かな社会でもあるけど逆を言えば生きにくい時代でもある。
仕事ばかりではなく、自分の人生を豊かにする術を見つけて、健やかに生活してほしいと思います。
前辻 あゆ美
個性や多様性を考えたときに、仕事や会社という一つの側面だけでは考えられないですね。なんだか、多様性は、“生き方“というような気がしますね。
粟田 貴也
密接に繋がっているでしょうね。
だから、働き方改革やワークライフバランスなどの言葉はよく聞くけれども、個性に価値を感じ、個性を相互理解するというのが基本的な考え方なのではないでしょうか。
前辻 あゆ美
当たり前ですけど、なかなかできていないかもしれませんね、自分と違う、他人の価値を理解するって。
粟田 貴也
そうですね。だから、ファーストステップとして、自分の生き方やビジョンを明確にし、仲間とそれを共有するとうのがすごく大事ですね。
前辻 あゆ美
共有があるだけで違いますよね。やっぱり平等性を求めてしまうのが国民性ですから、同じ時間働くとか、同じように努力するとかっていう考え方がベースにありますけど、“私は今こういう状態だから”とか、“ここを目指して頑張ってるから”というのが共有されていると、メリハリをつけて接することができます。
粟田 貴也
そうやね。「みんな頑張ってんのに、あんたなにしてんねん」ってならないようにしたい。
だからこそ、自分のことを伝えるのって、基本的なことだけど、そういったものの積み重ねで、多様性が許容される文化が作りあげられていくんじゃないのかなって思います。
前辻 あゆ美
そんな文化がトリドールでも確立していくといいですね。
粟田 貴也
みんながそれぞれのものさしを持っていて、輝いている自分であれるように生きていけたらそれが一番いいですね。

ひとつとして同じバックボーンはないのである。

前辻 あゆ美
価値観を理解し合う上で、粟田社長が意識されているものはありますか?
粟田 貴也
普段仕事をしていて、些細なことでも気にかけるようにしています。
前辻 あゆ美
例えばどんなことですか?
粟田 貴也
世代、さらに細かく言えば、人それぞれに育ってきた時代も環境も違うから、笑いのツボや、話の話題も異なるので、それぞれのバックボーンを知ろうとしながら、向き合うようにしています。
例えばですけど、今でこそインターネットやスマートフォンが普及していて、便利な世の中になったけど、僕らの世代は大人になっても携帯電話なんてなかったから、待ち合わせには駅の伝言板を使ってたんですよ。
前辻 あゆ美
伝言板?!ドラマとかでなんとなく見たことあります(笑)


デジタルパイオニア世代(ミレニアル世代)の前辻さんと、バブル世代(「24時間戦えますか?」というコピーのコマーシャルが有名な高度経済成長期を過ごした世代)の粟田社長。
伝言板の話で盛り上がる。

※画像はアンドトリドール編集局調べ。

粟田 貴也
そんな時代に生きてきたけど、今は小学生でも、もっと言えば赤ちゃんでもスマホを使いこなしていて、触れてきた情報量が圧倒的に違う。
前辻 あゆ美
そうですね。例えばですけど、今ではyoutubeでも勉強できるようになったり、学校や予備校だけがすべてではなくなりましたね。
粟田 貴也
そういった世代の違いや、その人の生活環境、その人だけの経験があって、ひとつとして同じバックボーンはないと思っている。
そんな違いがあるから、決して自分と同じ考えではないと思うようにしているし、どうしてこの人は今こんな発言をするのだろう?とか、なんでここをそんなに気にしているのかな、とか考えるようにしています。
前辻 あゆ美
(深く頷く)
粟田 貴也
トリドールは、まだ課題もありますが、お客様に対して、細かいところまでよく気が付くパートナーさんが多くいてくださいます。
それは、相手の発言や目線、細かい所作まで目を配れるからでしょう。
“お客様“という属性だけで見るのではなく、一人ひとりと向き合うことができるのがトリドールの強みです。
前辻 あゆ美
お客様に対してだけでなく、店舗は特にダイバーシティな状態で、しかも、それぞれの役割で、お客様を喜ばせたいというゴールを目指して、それぞれの力を発揮していますよね。
粟田 貴也
いくつもの持ち場ができる人もいれば、一つの持ち場でプロフェッショナルとして活躍している人もいる、得手不得手がある中で、それぞれが力を発揮して活躍しているのは本当に素晴らしいことだと思います。
前辻 あゆ美
ただ、組織が大きくなってくるともっと複雑ですね。
粟田 貴也
そうですね。ダイバーシティ&インクルージョンを推奨するといっても、まだまだ、長く働ける環境でなかったり、働きたいと思える会社でなかったり、離職する人も多いのに理想的なイメージだけ先行しても仕方ないと思っています。そこへの課題意識はもちろんあります。
だからこそ、様々なPJがあって、前に進めていきたいと思っています。

“全員が主役”という状態をみんなで考える必要がある。

前辻 あゆ美
たくさんお話を伺ってきましたが、多様性とは個性であると。個性に価値を見出す会社であり、デモグラフィー型ではなくタスク型の考えであると。
粟田 貴也
そうですね。今は、女性の活躍促進PJやLGBTへの理解促進など、一見デモグラフィー型になっていますが、課題が顕著になっているものからスタートしてしまうので混乱させてしまいます。でも、根本的にはタスク型、個性にフォーカスした考えでありたいと思っています。
前辻 あゆ美
これらはMissionや人事制度の考え方と同じですね。
粟田 貴也
そう、全て繋がってくるんですけど、Missionやvalue、人事制度もすべて、「個人個人を理解し高め合う」ことがベースになっています。
前辻 あゆ美
これからも文化づくりのため、長い時間をかけて地道に個々の意識や制度などを変えていく必要があると思います。
粟田 貴也
そうですね、課題はたくさんありますね。いろんなPJからいろんな報告が上がってきていて、私自身辛くなることもありますが、めげずにそれら一つひとつを解決して、自己実現できる会社にしていくのが私の使命だと考えています。
前辻 あゆ美
改めて、私たちが取り組むべきことは何でしょうか。
粟田 貴也
一人ひとりが主役というイメージを持ってほしいですね。
個性には価値がありますから。自分の価値や、自分にしかできないことなど、個性を発揮させながら全員で会社を創っていくという意識を持ってほしいですね。
前辻 あゆ美
PJの関係者だけでなく、全員が参加してということですね。
粟田 貴也
はい、大々的な取り組みももちろんありますが、普段の仕事への向き合い方やコミュニケーション一つひとつを意識すること。
前辻 あゆ美
結局は当たり前のことなんですが、大事ですよね。
粟田 貴也
その通り。全部が繋がっていて、個人のモチベーション向上もESやCSに繋がります。
それぞれ活躍するフィールドが違っても、目指す方向が一緒なら大きな力になるし、生産性の向上、さらには安定的な成長にも繋がると確信しています。