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制度はあるけど使えるの?男性が育休を取得するためには。店長の実体験を聞いてみた。

女性の社会進出と共に、男女問わず育児休業の取得が推進されています。
トリドールグループでは、法定に準じ、最長で子どもが満2歳に達するまで取得可能となっており、所定外労働の制限と短時間勤務は、法定の期間に加えて満10歳までの子を持つ社員が利用可能となっています。
しかし、制度はあるものの、男性社員の取得が未だ少ないのが現状。
今回は、実際に取得した社員に、育休の検討から復帰後までの実体験について伺いました。

 

小俣 純平 Junpei Omata

2016年新卒入社。丸亀製麺に配属され、2018年3月に店長就任。現在は北日本営業部にて店舗を管理している。トレーニングに力を注ぎ、スタッフ個々のオペレーション力を高めることで、2020年8月には担当店舗の最高日商を約3年ぶりに塗り替えるという功業を挙げた。スタッフ全員が「仲良く」「楽しく」をモットーとしており、現在は気軽に頼れるマネージャーになること目指している。

男性は育休が取れないものだと思っていた

逸見 理紗子
育休を取ることはいつから検討していたのですか?
小俣 純平
もともと育休は取らない予定だったんです。妻の妊娠が分かったときは、「もっと子どものためにも仕事を頑張らなければ」って思っていて、産まれる2か月前くらいまでは休むことなんて考えてもいませんでしたね。また、過去に男性社員で取得した人は少ないと伺っていたので、そもそも取れないものだと思い込んでいました。
逸見 理紗子
男性の育休は世の中的にもまだまだ浸透していないのが現状ですね・・・そんな中、なぜ育休を取得しようと思ったのですか?
小俣 純平
夫婦共に両親が近くにはいなくて、生後約1か月間は里帰りをする予定だったのですが、その後が心配だったんです。自宅に戻っていきなり一人で育児と家事をするのは、初の子育てだし妻が不安になるのでは、と思いました。
逸見 理紗子
たしかに、旦那さんが仕事に行っている間、家に子どもと2人になるのは心細いですし、さみしいですよね。
小俣 純平
だと思います。
加えて、出産予定日が近づくにつれ父親になるという実感が湧いてきて、子どもの成長を見られる貴重な時期にそばにいたいという気持ちが高まり、そこから育休を取ることを考えるようになりました。

店長がいなくてもお店を任せられる体制づくり

逸見 理紗子
当時から店長だったということですが、育休を取るのは難しかったのではないですか?
小俣 純平
そうですね。お店を店長がいない状態にするのは申し訳ないという気持ちがありましたし、上司に育休について尋ねるのにも勇気が必要でした。
逸見 理紗子
何かあったときは上司の責任でもありますし、それを考えるとなかなか言いにくいですよね。実際はどんな反応だったのですか?
小俣 純平
最初はあまりポジティブな反応はされませんでしたね。上司にもお子さんがいたので、「気持ちはわかるけど、男は取る人少ないし、店長だしな。」と、話が進まなかったんです。
逸見 理紗子
そこからどうやって納得いただけたんですか?
小俣 純平
まずは人事部に育休制度について尋ねて、取得可能であることを再確認しました。それから、一緒に働くパートナーさんにも相談していたのですが、「男性が家事育児に参加することには賛成。店長がいないのは不安だけど、不在の間は私たちが頑張るよ!」と言っていただきました。それを踏まえ、改めて取得目的と家庭の状況などを明確に示し、上司に承諾していただきました。
逸見 理紗子
丸亀製麺のパートナーさんならではの心温かさですね。それでも店長がいないのは、小俣さんご自身も不安になると思いますが、育休中の店舗体制はどうされたのですか?
小俣 純平
もともと、店長がいなくてもパートナーさんに任せられる体制作りは店長として当然のことだと信じて行ってきたので、大幅にシフトを変えるとか急いで自分の業務をトレーニングするようなことはなかったです。
逸見 理紗子
普段からパートナーさんに任せられる店舗体制を築いてきたことも大きかったということですね。
小俣 純平
そうですね。ただ、お店を任せられたのはパートナーさんそれぞれが強みと言えるポジションを持っていて、ポジション間で連携できていたからです。本当にパートナーさんのおかげなんです。

経験して初めて分かった育児の大変さ

逸見 理紗子
育休期間中、実際にはお店のことが心配にならなかったのですか?
小俣 純平
そうですね~、お店のことは頭にありました。もちろんパートナーさんたちを信じていましたが、何かと気になっていました。本当にお店が好きなので、1日公休の日でも気になりますね。
逸見 理紗子
たしかにチームのメンバーが働いているときの休暇って、何かと仕事のことが気になりますよね。育休中は、やはり店舗から何度か連絡はあったのでは・・・?
小俣 純平
どうしてもパートナーさんだけでは判断できない緊急の場合は、数回連絡がありましたが基本的にはありませんでした。
逸見 理紗子
そうなんですね。店舗がきちんと回っている理想的な状態で素晴らしいですね。
小俣 純平
そうなんです。だから逆に、自分がいなくても大丈夫なことにさみしさもありましたが(笑)

育児に関わって印象的だったこと

逸見 理紗子
では、質問が変わりますが、実際に育休を取得し、育児に関わってみて、印象的だったことはありますか?
小俣 純平
こればかりは、一言では伝えられませんね。育児はマニュアルなんてないですから、想定通りにはいかなかったことですかね。
逸見 理紗子
なるほど。たしかに一人ひとり性格も違いますし、正解がないのは難しいですよね。
小俣 純平
そうなんです。オムツ交換や寝かせつけなど慣れないですし、夜泣きなんかも最初はすごく心配しましたね。あと、私の場合は、育休を取得しているから何かしないといけないという勝手なプレッシャーを感じて、たくさん家事をしようと空回りすることが多々ありましたね。
逸見 理紗子
空回りですか?
小俣 純平
はい。掃除とか同じところをしてしまって、妻から「さっきやったよ!」と言われたり(笑)
それから、常に子どもの安全を考えなければならないという緊張感もありました。そこですかね、育児を経験して身に染みて感じたことは。
逸見 理紗子
緊張感ですか?
小俣 純平
はい。育児が最も大変と感じるのは、おむつ替えとか一つひとつの行為ではなくて、精神的な部分なんじゃないでしょうか。とにかく、育児の大変さは経験してみないとわからないと思います。

育児に参加したからこそ店舗での信頼関係がより深まった

逸見 理紗子
男性社員の現在の取得状況を考えると、育休は取得を決断する勇気がいるように感じました。それには復帰の不安も関係していると思うのですが、復帰する際の心情はどうでしたか。
小俣 純平
早く復帰したいという気持ちと、戻った際に居場所があるのか、という不安も少しありました。
逸見 理紗子
たしかにそうですね。取得期間が長期であるほど、不安も大きいのではと推測します。
小俣 純平
そうでしょうね。私は短期間であったものの、不安でしたね。
逸見 理紗子
短くても不安ですよね。実際にその不安が大きくて取らない社員も多いと思います。復帰した際の上司の反応はどうでしたか?
小俣 純平
上司からは「待ってたぞ~やること沢山溜まってるぞ~!」と言っていただき、居場所があることにホッとしました。
逸見 理紗子
それは、安心しますね。パートナーさんからはどうでしたか?
小俣 純平
パートナーさんには第一声、「休んでごめんなさい」と言葉が出たのですが、「初の子どもを授かった感想は?」「写真見せてよ~」など、休んだことよりも子どものことに関心を持ってくださっていて良い意味で拍子抜けしました。味わったことのない嬉しさがありましたね。
逸見 理紗子
優しい雰囲気の中で迎えてくださったんですね。
小俣 純平
そうなんです。私の店舗では、子育て経験のある方が多かったので今でも子育てのアドバイスをいただきますし、育児に携わっているからこそ共感できることが沢山あって、育児に参加したことで信頼関係をより深めることができたのではないかと思っています。

制度より信頼。自ら文化を醸成する。

逸見 理紗子
改めてお聞きしますが、ズバリ、育休を取得するためには何が必要だと思いますか?
小俣 純平
「信頼を得ておくこと」ですかね。トリドールに限ったことではないと思いますが、どんなに制度が充実していても、働く仲間と信頼関係を築いていなければ理解してもらうのは難しいと思います。
逸見 理紗子
信頼、どんことにおいても大切ですね。その信頼を得るために心がけていたことはありますか?
小俣 純平
そうですね。自分が抜けることで誰かがそれを補うことになるので、自分自身が日ごろから他のメンバーの手助けを行うことは心がけていました。私の場合、よく近隣店舗にヘルプに行っていました。また、後輩社員には、特別な繁忙期以外はお互いに休みたいときは前もって遠慮なく言い合うようにしていました。
逸見 理紗子
なるほど。日々の積み重ねですね。では、育休を取得して、小俣さん自身に何か変化はありましたか。
小俣 純平
そうですね、“時間の大切さ”を改めて意識するようになりました。
逸見 理紗子
時間、ですか?
小俣 純平
はい。育児に関わったことで、家族との時間をしっかりと確保し、大切に使おうって、改めて強く思うようになったんです。そのために、仕事の生産性(精度)を上げることも大切なので、どうすれば業務を効率化できるかなど、今まで以上に意識するようになりましたね。
逸見 理紗子
なるほど。家庭と仕事、双方に良い影響があったんですね。
小俣 純平
そうですね。
逸見 理紗子
そういったことを踏まえると、やはり、男性も取るべきだと思いますか?
小俣 純平
世間的にもまだ育休を取得する男性が少ないと思いますが、必要があれば取るべきだと思います。
この時期の子どもって、驚くくらい一日一日の成長が目まぐるしいんです。そんな姿を家族と一緒に見守り、過ごした時間は本当に貴重でした。
また、育児と家事を行う妻の大変さを知り、子どもに対する愛情もより深めることができたと感じています。
逸見 理紗子
なるほど、そのくらい小俣さんにとって育休を利用して得た育児の時間はかけがえのないものだったということですね。
小俣 純平
そうですね。
逸見 理紗子
ですが、取りたいと思っていても、職場の環境によっては難しいこともあると思います。そんな場合はどうすべきでしょうか。
小俣 純平
取りたいと悩んでいる人は、環境が変わるのを待つよりは自ら動くべきだと思いました。少しの勇気と自分が築く信頼次第で、周囲は理解してくれると思うんです。だから、過去に男性で育休を取得した人がほとんどいない会社でも、自分が先駆者になって変えていこう!というくらいの気持ちが大切ですね。トリドールでもまだ広くは浸透していませんが、今は働き方改革に積極的に取り組んでいて組織体制や人事制度など色々と変革している時期なので、育休を啓蒙して、これからもっと男性が育休を取りやすい会社になればいいですね。