今回はそんな東京本社での働き方やオフィスの在り方、考え方についてのお話をしたいと思います。
トリドールのオフィスは新しいバリューを生み出す場所

古里 栞
コロナ禍で、リモートでの仕事の仕方が定着し、世間ではオフィス不要論も出てきていますが、トリドールはオフィスに対する考えってどうなんでしょう。

小野 正誉
世間では、そんな声もあるようですが、トリドールは、オフィスは必要なものであると考えています。
(※2020年3月より在宅勤務を推奨。出社する場合は時差出勤を推奨。)

小野 正誉
2011年トリドール入社。IR担当。2013年から社長秘書。2021年から総務部を兼任。会社員として仕事をする傍ら、心理カウンセラー、コーチの資格を取得。2016年には初の書籍「メモで未来を変える技術」、2018年には「丸亀製麺は、なぜNo.1になれたのか?」を上梓。同書は、各メディアに取り上げられ、海外版も出版される。他、書籍に「丸亀製麺に学んだ 超実直!史上最高の自分のつくりかた」がある。 最近は、各地でワークショップや講演を行うなど精力的に活動している。

古里 栞
それはどういった理由からでしょうか?

小野 正誉
粟田社長もよくおっしゃるのですが、オフィスをスクランブル交差点のように捉えていて、人の行き来や、交わりによって、新たな発想やバリューが創出される場でありたいと考えています。

古里 栞
なるほど。たしかにふとした会話から新しいバリューになり得る機会が生まれることはありますね。

小野 正誉
そうです。それを実現させるために東京本社では、もともとABW(Activity-based working)の働き方を推奨してきました。

古里 栞
「時間」と「場所」を自由に選択できる働き方のことですね。私は、ずっと座ってPCとにらめっこするのが苦手なので、この働き方は向いています。

小野 正誉
同じような方も多いかもしれませんね。人間の集中力ってそれほど長く持たないですから、仕事の内容を変えたり、場所を変えたりしながらリフレッシュしていく方が仕事の効率は上がると思います。

古里 栞
立って作業したり、そんなところで?っていうところで仕事している人もいますよね(笑)。

小野 正誉
はい。また、すれ違いざまの会話からそのままちょっとしたMTGになることもありますよね。
「今時間大丈夫なら話しましょう」みたいに(笑)。この間も「小野さんに聴いていいか分からないんですけど・・・」って話しかけてくださる人がいて、そこから会話が広がりました。リアルならではですよね。

東京本社エントランス
すれ違いざまの会話からちょっとしたMTGがよく生まれる場所。

カフェスペース
ランチMTGもよく発生する。

古里 栞
本当に、スクランブル交差点のような感じですね。

小野 正誉
部署が違っても、気軽にコミュニケーションができる環境は、Missionの実現や新しいバリューを生み出すためにも重要ですね。

古里 栞
そうですね。総務部では、このABWの働き方を推奨するためのマニュアルや管理をされていますよね。

小野 正誉
そうです。まだまだ行き届いていないところもありますが、オフィスはあくまでもpublicな場なので、すべて自由にというわけにもいかないんですよね。また、今はコロナ禍なので衛生面に対しての意識をさらに引き上げていく必要性を感じています。
公園や図書館と同じ。オフィスはPublicな場所であるという意識を。

古里 栞
ABWの働き方を存続させていくためにも、社員全員が意識していくことが大事ですね。

小野 正誉
そうですね。皆さん大人で、倫理観もあって、オフィスを利用させていると思うのですが、publicな場ってどういう場所だろうって考えていたときに、ふと中学校の技術室に貼ってあった言葉を思い出したんです。

古里 栞
それは、どんな言葉ですか?

小野 正誉
黒板の上にデカデカと「使う前より美しく」と貼ってあって、強烈に覚えてるんです(笑)。

古里 栞
懐かしいですね!学校生活の中でよく言われていたように思います。

小野 正誉
そう。自分のクラスは毎日同じ人が使うけど、例えば技術室とか美術室は毎時間使う人が違うから、使うたびにちゃんと綺麗な状態に戻してましたよね。そういったことを心掛けていたと思うんです。

古里 栞
トリドールでは、それに似た言葉でClean as you goという標語がありますね。

小野 正誉
はい。このClean as you goは店舗だけなく、オフィスでも同様です。
オフィスは、公園や図書館などと一緒でpublicな場所です。publicな場所がきれいなところはいい街だし、そこには自然と人が集まりますよね。

古里 栞
たしかにそうですね。治安のいい街はきれいですし、人が集まります。

小野 正誉
トリドールのオフィスは、先ほど言ったように、スクランブル交差点のような場所でありたいと考えています。新しいバリューが創出されるように人が集まり行き交う場所にしたい。
そのためにもオフィスがpublicな場所であるということへの個々の意識が大切で、それがオフィスの存続に繋がっていくのだと思います。
“快”の状態になれば、綺麗に保てる?

古里 栞
いつも自分が使う訳ではなくpublicな場所であるからこそ、それを意識して、Clean as you goの行動を心掛ける必要があるんですね。

小野 正誉
そうですね。そのために総務部でも、今後もオフィスを存続させていくためのルール改定や、Clean as you goの行動ができるようにオフィス環境を整えていきたいと考えています。
でも、人は、面倒なことはしたくない。楽な方に流れるという習性があるんですよね。

古里 栞
すごくわかります(笑)。

小野 正誉
だから、明日もこの席を使うから片付けなくていいやと思ったり、汚してしまってもそのままにしたりとか。でも、“やらなくちゃ”って意識もあって、今はちゃんとやってくださっていると思うんですね。

古里 栞
そうですね。

小野 正誉
店舗ではClean as you goを実行するために、“常に手元に綺麗なクロスがある“という状態を作っていますよね。
”Clean as you go”という言葉だけを意識しても、手元に綺麗なクロスがなければ、「いいや」ってやらなくなってしまう。だから、オフィスでもマインド面での意識だけでなくそういった環境を整えていきたいと思っています。

古里 栞
たしかに、テーブルにクロスがないとクリーンにすることを怠ってしまいますね。

小野 正誉
そうなんです。だから、常にクリーンな状態にできる環境整備からはじめて、その後はその状態を保ち続けられるよう習慣に変化していけばいいなと思っています。
また、先ほど人の習性は「楽」な方向に流れるってお伝えしましたが、実は人間はそれほど怠惰な生き物でもなくて(笑)、字は同じですが、「楽しい」ことにも流れるんです。

古里 栞
というと?

小野 正誉
つまり「快」の状態ですよね。嬉しいとか楽しいことって自然とやりたくなりますよね。

古里 栞
むしろそういったことにしか関心を示さないですね私は(笑)。

小野 正誉
オフィスの環境も、「机がきれいで気持ちいい」っていう快の状態になれば、それって自然と続くと思うんです。

古里 栞
たしかに、綺麗なトイレってpublicな場でもずっと綺麗に保たれてますよね。それは、「きれいって気持ちいい」という感情が状態を維持させているのかもしれませんね。

小野 正誉
そうなんです。意識していくところから、それが習慣になればいいですよね。
これは、31カフェについても同様ですね。

古里 栞
社食のごみの区別なども今みなさんに率先していただいていますが、オフィスとかカフェとか区別なく、Clean as you goを行っていきたいですね。

小野 正誉
そうですね。少し余談ですが、31カフェのマークってハチドリであることは皆さんもご存知だと思います。「ハチドリのひとしずく」というお話はご存知ですか?


古里 栞
えーなんですかそれ、知らないです。
これは ちいさな力の大切さを教えてくれる
南米アンデスの 古くて新しいお話――
森火事に一滴ずつ水を運ぶハチドリに対して、森から逃げた動物たちは「そんなことして何になるのだ」と笑います。ハチドリは「私は、私にできることをしているだけ」と答えました……。

小野 正誉
些細なことでもいいので、「私にできること」に意識を向けて、個々が少しずつできることをやっていく。その積み重ねが大事なんだっていうことを謳った物語なんです。

古里 栞
なるほど。オフィス環境も同様ですね。

小野 正誉
この物語の意味合いも込めて、ハチドリがカフェのシンボルになっているので、より心がけなくちゃと思いますよね。誰しも大したことはできないですが、些細なことならできるという意識をもって。

古里 栞
そうですね。新しいバリューを生みだすこのオフィスを存続させていくためにも、一人ひとりの意識と小さな行動の積み重ねが重要ですね。