トリドールが自らを「人材開発企業」と呼び、成果を出していくためには、あらゆる立場の者が「マネジメント」を意識し、共通の理解をもって繋がっていく必要があります。
そこで、本シリーズでは粟田社長をはじめ、いわゆる「トップ・マネジメント」の経営陣に「マネジメントのあるべき姿」や「部下、組織を持つ者への期待」について語ってもらいます。
今回は、田中常務取締役 兼 COO(最高執行責任者)に、“リーダーを担う者に求められる役割と心得”について伺いました。

「マネージャー」の称号は、あくまでも「役割」を示すものでしかない

画像1: トリドールジャパン社長が語る。リーダーになるすべての人に求められる「役割」とは

逸見 理紗子

トリドールジャパンの社長としてどういったマネジメントを心掛け、ビジネスユニットのリーダーをはじめマネージャー陣には、マネジメントについてどういった話をされていますか。

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田中 公博

まず初めに、これまで私がチーフマネージャー(以下、チーフ)になる人にずっと話してきたのは「役割が変わるだけで、偉くなるわけではない。そこを間違わないで欲しい。」ということです。これは初めて店長に就任する人にも伝えたいことですし、私自身にも言い聞かせている事柄です。

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常務取締役 兼 COO(最高執行責任者)/田中 公博
2011年4月入社。同年7月に営業本部長に就任。コンサルティング会社でのターンアラウンド業務や大手外食企業等で培った経営に関する知見と経験を活かし、丸亀製麺事業の急速拡大や複数業態の改善に貢献。2012年6月取締役営業本部長を経て2016年4月に常務取締役に就任。2018年12月から海外事業本部長を兼務し、同事業の拡大にも携わる。2020年2月より常務取締役兼国内事業本部長に就任(現任)。
日ごろから日報の重要性を伝え、日々業務を振り返り、気づきを行動に変えることを習慣化した功績は大きい。また、徹底した現場主義に基づき、足繁く自社、他社の店舗に赴き、実体験による学びを深め反映させるスタイルを貫いている。

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逸見 理紗子

それは具体的にどういったことでしょうか。

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田中 公博

例えば1つの店舗で店長を務めていた者が、複数店舗が展開されているエリア全体を任されることになれば、責任を負うべき数字も従業員やパートナーさんの数も増えます。今まで以上に大きなチャレンジに手を伸ばすこともできるでしょう。それを喜びとして受け止めるのは決して悪いことではありませんが、「ウチの部下が……」みたいな言い方を急にし始めたりする者もいるんです。

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逸見 理紗子

いわゆる“上から目線”ですね。

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田中 公博

そう。「偉くなった自分は、目下の者たちに命令をして仕事をやらせる立場なんだ」と思っているのだとしたら大きな勘違い。そんなことでは、より重くなった責任を果たしてなどいけません。粟田社長の日々の様子を見ればわかるはずです。誰に対してもフランクに接し、言葉に耳を傾けている。

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逸見 理紗子

たしかに粟田社長は誰に対しても優しく、入社2年目の私にもフランクに話かけてくださいますね。

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田中 公博

もちろん粟田さんの人柄による部分もありますが、実はこうした姿勢にこそマネジメントの真髄がある、と私は捉えています。

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逸見 理紗子

真髄ですか。

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田中 公博

店舗であろうとオフィスにいようと、「手間のかかる仕事」というのはたくさんありますよね。しかし、「面倒な仕事をしなくてもいいご身分になる」ではなく、「重要な仕事を自分以外の者にやってもらう立場になった」のだと理解して欲しいです。
マネージャーになったとたん「これで毎日お店に行かなくて済む」と喜ぶようでは何もわかっていません。

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逸見 理紗子

では、エリアマネージャーやチーフは、どういった役割を担っているのでしょうか。

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田中 公博

「担当するすべての店舗でお客様に喜びを提供し続ける責任を背負う」のがマネージャーやチーフの役割です。

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逸見 理紗子

そのすべての店舗に顔を出せる機会が減ってしまうのに、それをこなすのはハードルが高いように感じますが・・・。

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田中 公博

そうですね。直接お店に出て、1人ひとりのお客様と向き合っていく仕事とは異なる難易度の役割を任されたのだと考えるべきなんです。“上から目線”で仲間と接していては、この役割は果たせません。

画像16: トリドールジャパン社長が語る。リーダーになるすべての人に求められる「役割」とは

逸見 理紗子

高い役職に就きながらも、フラットな目線でリーダーとして部下を引っ張っていかなければならない・・・。
それはどういったバランス、姿勢でチームをまとめるべきなのでしょうか。

画像17: トリドールジャパン社長が語る。リーダーになるすべての人に求められる「役割」とは

田中 公博

「自分が“部下たち”を指導して、ちゃんとやれるようにする」ではなく、「みんなと一緒に学んでいこう」という発想ですね。役職が人を偉くするのではなく、ともに同じ目標を目指す従業員やパートナーさんたちに認められ、「この人と一緒に仕事ができて良かった。この人と一緒なら頑張れる」と信頼されるようになって初めてリーダーになれるんです。

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逸見 理紗子

たしかに「この人についていきたい」と感じると、どうすればその人の力になれるか考え、行動しますよね。

画像19: トリドールジャパン社長が語る。リーダーになるすべての人に求められる「役割」とは

田中 公博

そうなんです。マネージャーが真のリーダーになれるかどうかを決めるのは、会社でもその人自身でもなく周囲の人々、ともに働いていただく仲間たちです。そういう「役割」なのだと自覚して欲しいです。

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逸見 理紗子

それは店長やマネージャー、チーフだけではなく、チームを率いるすべての人が心がけるべきこと、ということでしょうか?

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田中 公博

その通りです。ホールディングスには近年、外部から多くの経営人材が入社していますが、彼、彼女らに求められている「役割」も根底の部分は同じ。ビジネスユニットのリーダーもそうですし、私のようにホールディングス傘下の事業会社で経営陣の1人となっていく者も同様です。

画像22: トリドールジャパン社長が語る。リーダーになるすべての人に求められる「役割」とは

逸見 理紗子

手がける仕事や期待されている成果の種類、取り囲むメンバーが違っても、求められている「役割」は共通しているということですね。

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田中 公博

そうですね。一番に心得ておかなければいけないことは共通しています。「自分で直接携われない仕事を他者にやっていただき、そこで成果を出してもらう」という「役割」なのだと認識して、チームの皆といっしょに学び、成長していこうとする。このシンプルな事柄を達成できたなら、トリドールグループという大きなチーム全体が成長をし続けていけると思うんです。

現場に出向き、直接目で見て肌で感じることがチーム全体の成長に繋がる

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逸見 理紗子

マネジメントを担う人が「役割」をまっとうするために、具体的には何をどうすれば良いのでしょうか。

画像25: トリドールジャパン社長が語る。リーダーになるすべての人に求められる「役割」とは

田中 公博

具体的な施策については、人それぞれの手法でも良いし、直面している実情に合わせていけば良いと考えています。例えばチーフマネージャーだと、「どんなに時間的にしんどくてもすべての店舗に足を向ける」というやり方もあるし、「あえて各店舗の店長をはじめメンバーたちに任せてみる」というやり方もあります。常にどちらかが正解でどちらかが間違い、などということはありません。マネージャーが最終的に問われるのは、その判断が的を射ていたかどうかに尽きます。

画像26: トリドールジャパン社長が語る。リーダーになるすべての人に求められる「役割」とは

逸見 理紗子

的を射ているかというのは難しいですね。

画像27: トリドールジャパン社長が語る。リーダーになるすべての人に求められる「役割」とは

田中 公博

確かに「ジャッジすること」「重要な意思決定をすること」はとても難しく、責任感の重圧にも襲われますが、私はどの役割でも常に努めて、「とにかく誠実であろう」と決めていました。
ただ、一番シンプルなのは「極力、現場に行く」ことですね。私の近くで仕事をしている人たちは、ご存知のはずですが、「とにかく会議が終わると、田中はあっと言う間にいなくなる」と言われながら働いてきましたし、今もその働き方をしています。

画像28: トリドールジャパン社長が語る。リーダーになるすべての人に求められる「役割」とは

逸見 理紗子

たしかに、田中常務は時間を惜しんで、ほんのわずかな時間でも現場を回られているとよくお聞きします。

画像29: トリドールジャパン社長が語る。リーダーになるすべての人に求められる「役割」とは

田中 公博

いつの間にかいなくなるヤツと思われがちなんです(笑)。でも、誰だってその気になれば店舗を見に行くことも、他社の様子を伺いに行くこともできます。さすがに今は全店舗を常に自分の目で確認することは不可能になってしまいましたが、できる限り直接自分の目で見て、肌で感じる習慣は続けています。そうしなければ、どんどん現場の温度や空気を感じ取れなくなってしまいます。ただ、それだけでは不十分です。

画像30: トリドールジャパン社長が語る。リーダーになるすべての人に求められる「役割」とは

逸見 理紗子

どんな役職、どこの部署で働こうと現場が第一であるという心得は大切ですよね。
それだけでは不十分というのは、他に何が必要なのでしょうか。

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田中 公博

私がマネージャー時代にずっと重視してきたのは日報です。私の後任や新たにマネージャーに就任した者にもその重要性を伝えてきました。

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逸見 理紗子

なぜそこまで日報を重視しているのですか。

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田中 公博

「自分の目では見えなかったことを、他者(現場にいる者たち)の目を通して気づくことがある」からです。マネージャー本人が気づかなかった重要な問題点を、時に日報は教えてくれます。例えばある店の数字が急に良くなっていた場合に、それがどういう理由でそうなっているのかを日報から読み解けることもあります。細かな変化を日報で伝えてくれている現場があれば、売上好調の原因が「ある1人のパートナーさんの活躍」によるものであることもあります。

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逸見 理紗子

それは、そのパートナーさんに感謝し、評価できる材料にもなりますよね。

画像35: トリドールジャパン社長が語る。リーダーになるすべての人に求められる「役割」とは

田中 公博

もちろんそれもありますが、マネージャーである以上「もしもこのパートナーさんが辞めてしまったらどうする」という発想も持たなければいけない。「そもそも、このパートナーさんの何が優秀なのか」に関心を持ち、「その優秀さを他のパートナーさんたちも共有するには何をすればいいのか」を考え、判断し、実行していけたなら、チームの業績はさらに上がります。また、1人の優秀なプレイヤーに依存するわけではなく、チーム力全体を引き上げていくことも可能になります。

「人とチームを育てる心意気」と「腹をくくった覚悟」がなければリーダーにはなれない

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逸見 理紗子

マネージャーの役割を達成するために求められる心得というのは、他にもありますか?

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田中 公博

腹をくくる。それが一番です。例えば今ビジネスユニットのリーダーを務めている人たちの胸の中には「いつかは自分も経営者に」という思いがあるでしょう。でも、何かネガティブな事態が発生した時に「いや、それは部下が…やあの部署が……」というように、部下や他部門の責任だと主張しているようでは「腹がくくれていない」と思わざるを得ません。

画像38: トリドールジャパン社長が語る。リーダーになるすべての人に求められる「役割」とは

逸見 理紗子

その責任を取るのがリーダーということですね。

画像39: トリドールジャパン社長が語る。リーダーになるすべての人に求められる「役割」とは

田中 公博

はい。そもそもチーム内のどこかが原因でトラブルが発生していようが、その責任は自分にあると心から感じ取れなければリーダーとは言えません。「自分自身が自部署や、そのメンバーを育ててこなかったということでしょ。それが自分の仕事だったはずでしょ。」ということなんです。

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逸見 理紗子

なるほど。人材開発企業を目指す上でマネージャー一人ひとりがその責任を取れるかというのは重要になりますよね。

画像41: トリドールジャパン社長が語る。リーダーになるすべての人に求められる「役割」とは

田中 公博

そうですね。仮に新しい目標が浮上してきて、人手もスキルも不足していたとします。その不足部分を埋めてくれるような人材を外から連れてくることも可能ですし、その判断は決して間違いだともいえません。ただ、事ある毎に外から人を連れてきているようでは、チームそのものの力が向上しません。
先ほどの「優秀なパートナーさん」のお話と同じ事で、リーダーに「人とチームを育てる心意気」と「腹をくくった覚悟」があるかどうかが大切なんです。

画像42: トリドールジャパン社長が語る。リーダーになるすべての人に求められる「役割」とは

逸見 理紗子

それはどういう覚悟ですか?

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田中 公博

チームメンバーにはそれぞれの個性があり、得手不得手もさまざまです。誰に何を任せれば成長するのか、誰と誰をどう連動させたら得意不得意を埋め合って機能するのか、などなどを常に考え、「こうしよう」と決めたなら彼ら彼女らを信頼して任せる。そういったことがマネージャーに求められる腹のくくり方です。
また、腹をくくることでマネージャー自身も成長を手にするきっかけをつかめることに気付いてほしいですね。

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逸見 理紗子

腹をくくることによって成長したな、と感じた事例について教えてください。

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田中 公博

例えば海外事業本部のSさんは、トリドールへ来てからの年次の浅さもあって少々不器用なところがありました。でも、海外業態の日本での展開を引き受け、自ら意思決定して事業展開を牽引していくと腹をくくったとたん、劇的にリーダーとして成長していったんです。

画像46: トリドールジャパン社長が語る。リーダーになるすべての人に求められる「役割」とは

逸見 理紗子

Sさんご自身も「トリドールで任される仕事の裁量の大きさには驚いたけど、その分不足しているのが何なのかを確実に理解でき、成長に繋がる」とおっしゃっていましたね。

画像47: トリドールジャパン社長が語る。リーダーになるすべての人に求められる「役割」とは

田中 公博

そうなんです。

画像48: トリドールジャパン社長が語る。リーダーになるすべての人に求められる「役割」とは

逸見 理紗子

では最後に、店長をはじめ、マンジメントを行うすべての人に向け、トリドールが目指すべきマネジメントについてメッセージをお願いします。

画像49: トリドールジャパン社長が語る。リーダーになるすべての人に求められる「役割」とは

田中 公博

店長になった者には、店というチームを育て、同時に次期店長を育てる役割があります。マネージャーになった者には次期マネージャーを、トリドールジャパンの社長になった私にも次期社長を育てる「役割」があるんです。それぞれがその「役割」を果たしていったなら、この会社には驚くほどたくさんのリーダーが生まれてきます。次のリーダーを育てたリーダー自身も、さらなる成長を手に入れていきます。私は、これこそがこれからのトリドールが目指すべきマネジメントだと確信し、とりもなおさず私自身がそれを体現しなければと肝に銘じているところです。

役職は地位ではなく、あくまでも「役割」である。どんなに多忙でも、時間を惜しみ、お客様や最前線で働くスタッフが感じていることを自分の目で見て確かめる。粟田社長の姿勢に相通じるものを感じますね。
さて、次回はトリドールでサプライチェーン領域を統括する神原取締役です。アメリカの様々な企業経営で学んだ「ロジカル・マネジメント」に基づき、いまトリドールに求められるマネジメントについて語ってもらいます。

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