ダイバーシティインクルージョンを目指す上で、大切な考え方は“相互理解”
まずは知ることから、一歩一歩進んでいきましょう。
ぜひこの機会をきっかけに、LGBTsについて少しでも知っていただけたら嬉しいです。

この記事を担当したのは?PJ Rainbowメンバー/田中 里佳さん
2020年入社。入社前は日本とアメリカでウェブデザインと飲食の仕事に従事。現在は、CX推進部にて海外丸亀製麺向けの資料作成等を担当。
LGBTsの友人が自分らしく生きる姿勢に影響を受けたことから、PJ Rainbowに参加。プライド指標のブロンズ取得に向けアンケート調査や啓蒙活動に従事。
LGBTとLGBTsの違い ~sに込められた意味は?~
メディアでも頻繁に取り上げられ一般的になってきたLGBTとは、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーのセクシュアルマイノリティ(=性的少数者)を表す一つの言葉です。
さて、そのLGBTに小文字のsがついたLGBTsという言葉はご存知ですか?
小文字のsは、LGBT以外のセクシュアリティの形を複数系で表現しています。
LGBTだけでも多様なセクシュアリティに感じますが、それ以外にもセクシュアリティの形が存在します。
人の数だけセクシュアリティの種類はあり、LGBTという言葉だけでは括れないことから、そういったLGBT以外の人にも配慮し、LGBTに複数形のsをつけたLGBTsやLGBTQ+という呼び方が近年主流になっています。
LGBT以外のセクシュアリティについては後ほど詳しくお話していきます。
身近にいるけど、気が付いていないだけ?人口に対するLGBTsの割合

そもそも、セクシュアルマイノリティの人たちはどのくらいの割合でいるのか、ご存じですか?
LGBTsの割合は、日本人口のうち約8.9%※なのですが、正直ピンときませんよね。(※電通ダイバーシティ・ラボ「LGBT調査2018」より)
この割合は、日本人口に対する左利きの人の割合や、「佐藤」「鈴木」「高橋」「田中」「伊藤」「渡辺」といった姓の人数の割合と同じくらいです。
カミングアウトしていないために、普段の生活で身近に感じることは少ないかもしれませんが、佐藤さんも田中さんも鈴木さんも、左利きの人も、出会う機会は身近にあります。
自分が知らないだけで、身近にいるかもしれないLGBTsの人たちに配慮した発言をしようと意識と行動が変わるきっかけになれば嬉しいです。
自分には関係ないと思わず、まずは知ること、そして身近にいるLGBTsの方々に配慮した発言や行動を心がけましょう。

ポイント
セクシュアルマイノリティの割合は、日本人口の約8.9%
一部で起きている話ではなく、全員にとって身近である
LGBT以外のセクシュアリティはこんなにも!
さて、冒頭でLGBT以外にも様々なセクシュアリティがあるとお伝えしました。
ここではそれらについて詳しくお伝えしていきますが、全部を覚える必要はありません。
今回の記事の目的は、“多くのセクシュアリティが存在するということを知っていただく”ことです。
この機会に少しでもセクシュアリティに興味をもっていただければと思います。
LGBT課題のひとつとして履歴書や各種手続きに伴う書類の“性別欄”の問題があります。
これまでは、男女の2つのみでしたが、近年では、“性別を選択しない“という履歴書も出てきています。
アメリカ版のFacebookでは性別欄をカスタマイズでき、50種類以上の選択肢があるのをご存じですか?一部を抜粋して記載します。

男女の2つだけでなく、様々なセクシュアリティが存在しています。
例えば、以下のようなセクシュアリティです。
・「Q(クエスチョニング)」
自身の性自認や性的指向が分からない、または敢えて定めていない方
・「A(エイセクシュアル)」
無性愛者。性的指向がなく、他者へ恋愛感情などをもたない方
・「パンセクシュアル」
恋愛感情、性的指向が男性と女性のどちらかに限定されない方
・「クロスドレッサー」
異性のファッションに身を包む方
このように年々、様々なセクシュアリティに対する認識が広がっている背景として、これまで以上に自分の性について考える人が増えてきているということが挙げられます。

ポイント
男女だけではない
セクシュアリティは人の数だけ存在する
他人のセクシュアリティは勝手に決めないこと
男女だけではなく、多くのセクシュアリティがあるということはわかりましたね。
では、具体例をあげてイメージしてみましょう。

ここに登場するAさんの身体的性は女性です。
性別は男性だと自分では考えています。(性自認)
そして、普段の服装や話し方といった性表現は男性として生活しています。
そして恋愛の対象は男性です。(性的指向)
この場合Aさんのセクシュアリティは何と表現されるでしょうか。
Aさんのセクシュアリティは「トランスジェンダーのゲイ」です。
身体は女性だけれど、性自認は男性なのでトランスジェンダーであり、
性自認と性的指向がどちらも男性なのでゲイと表現ができます。
性自認や、性的指向は本人にしかわかりません。
Aさんの場合のように、身体的性が女性であっても、性自認・性表現が男性の場合もあり、他人の性は勝手に決めることはできません。

ポイント
セクシュアリティは本人にしかわからないもの
他者が勝手に決めることはできない
ダイバーシティな環境のために大切なことは相手の立場になって考え行動すること

このように、セクシュアリティは単純に分けられるものではなく、人それぞれ多様なあり方がグラデーションのように存在しています。
先ほどの例に挙がった身体的性・性自認・性表現・性的指向というそれぞれの項目にも、さらに人によって度合いや、そもそも分からない、選択しないといった違いがあります。
そのため、人の数だけセクシュアリティは無数に存在するといえます。
慣れない単語を目にすると、構えてしまいますが、今回は、まず人の数だけセクシュアリティの形があるということを知ってもらえたらうれしいです。
セクシュアリティという切り口一つでもこれだけの多様性が見えてきます。LGBTsだけでなく、さまざまなバックグラウンドを持った人同士がお互いの違いや事情を理解し、一人ひとりの違いを活かし、それらを企業の競争力や強みに変えて、付加価値を生み出すというのがダイバーシティの本質であり目的です。
今回の記事をきっかけに、LGBTsの人が実は身近にいる可能性があることを頭の片隅にでも置くことができれば、普段の発言に配慮するなど行動につなげることができます。
最初の一歩は小さくても、一人ひとりが他者を理解し、行動につなげることで多様性を認め合い、働きやすい会社の風土につながります。今回の記事が、そのきっかけのひとつになることを祈っています。
社員一人ひとりが多様性を認め合い、さらに自分らしく輝ける会社を目指して「PJ Rainbow」は活動を続けてまいります。次回もお楽しみに!

編集古里 栞
編集局編集長/ 2013年、大学卒業後化粧品会社へ入社。ビューティーアドバイザーとして新宿某百貨店にて勤務。トリドールへは2016年に入社し、大卒採用に3年半従事。その後組織戦略課へ異動し、ブランディング強化策として本メディアを立ち上げる。メディア視点で組織を強化し、より強固なブランドにすることを目指す。