宇治川委員長に失礼を承知で、お話しをお伺い(質問攻め)して参りました。
※取材日 2020年1月

古里 栞
さっそくですが宇治川さん。

宇治川 智大
なんでしょうか。なんでも聞いてください。

古里 栞
組合費って高いと思うのですが、そう感じているのは私だけでしょうか。

宇治川 智大
そうですね。高いと思われる方もいます。が、破格です、これ(笑)

古里 栞
本当ですか?(笑)

宇治川 智大
本当です。金額だけを比較すると全国に2万4千以上ある組合の中でも安いと言えます。でも、高いか安いかって、“金額“というよりは、必要性や妥当性の面が強いと思うんですよね。高いと思われているということは、古里さんは労組の活動が金額と見合っていないと感じておられるのかもしれませんね。

古里 栞
たしかにそうかもしれないですね。よく考えたら、労組の活動自体についてあまり存じ上げていないですね。

宇治川 智大
古里さんのように高いと感じている方も少なくないと思いますし、活動自体についてあまりよく知らないっていう方もいらっしゃると思います。
しかし労組は、労働者を守る上で必要なものだと断言できます。

古里 栞
組合の成り立ちの歴史はなんとなく知っています。ただ昔と違って法も整っているし、労働基準法に違反していることを強いられたら正式に抗議をしたり、それでも改善されない場合は労働基準監督署に申し出るなんてこともできるのではないでしょうか?

宇治川 智大
当然できると思います。しかし実際にはそれができなくていやいやながら働いている人がいるのも事実です。

古里 栞
そうなんですね、なるほど…。

宇治川 智大
労働基準監督署に行かれる方の多くは、会社を諦めた方が多いという傾向があります。会社のことが好きでよくなってほしいという方にとっては日々の疑問や状況を吐き出すことの方が重要だと思います。

古里 栞
私は社会人7年目ですが、あまりそういったことが起きているという認識がなかったです。

宇治川 智大
そうだと思います。私も丸亀製麺の営業部長時代まではそう思っていました。
ただ組合で働いてみると従業員さんの悩みは想像以上に多かったんです。働いている環境によってそういったイメージに差があるのも事実だと思います。組合は、自分で声を上げられない人、また、悩みに気づいていない人の代弁者であることは理解してほしいと思います。

古里 栞
まさに労働者の味方ですね。ただ、トリドールの労働組合は*ユニオンショップで全員加入制でしたよね。加入は必要な方たちだけでいいのではとも思うのですが。*ユニオンショップ制…労働組合のスタイルのひとつで、会社に雇用された場合は必ず労働組合に加入しなければならない制度

宇治川 智大
いい質問です(笑)
説明のために少し話が変わりますが、古里さんは春闘ってご存じですか。

古里 栞
シュントウ…。聞いたことない。もしかしてベアですか??

宇治川 智大
そうです、ベアです。ベースアップのことをベアといいますよね。
仕事を頑張って評価されてお給料が上がるのはベアではなく、ベアとは、全従業員の給与を上げるんですね。
春闘とはベースアップをはじめとする賃上げや労働時間の短縮などといった労働条件の改善を交渉する労働運動のことです。

古里 栞
その労働運動を行っているのが組合ですね?

宇治川 智大
そうです。法律の中に、雇っている人の給料を上げてあげなきゃいけないなんて法律はないんですよ。
なので会社によっては給料が上がらないというところもたくさんあります。

古里 栞
私の前職は10年くらいベアなかったですねー。

宇治川 智大
(笑)でもね、ベアを勝ち取るのって結構難しいんですよ。
だって全員の給料上がるんですから(笑)

古里 栞
そうですよね(笑)しかもトリドールは結構な従業員数ですからね。

宇治川 智大
すごく難しいです。
トリドールも当然業績によってベアを出せないときもありますが、企業によってはそもそも“ベアはいらん”としているところもありますよ。

古里 栞
評価するのは個人の頑張りだけの企業もあると。

宇治川 智大
そうです。全員を一律で上げなくていい、その代わり頑張った社員のお給料を上げるということですね。
ただ、組合からの視点でいうと、やむを得ない事情で仕事を制限されている方なども多くいます。

古里 栞
頑張っていても不器用でなかなか評価されにくい方などもいますね。

宇治川 智大
その方たちも全員上げてあげるっていうのがすごく大事なことだと考えています。
物価も上がるし、消費税も上がりますよね。そうした視点からも見たときに全員にベアを出すというのはとても大事だと思います。外食業界の中でもトリドールはトップクラスだとみてもらっていいです。

古里 栞
ベアってすごく有難いんですね。そしてその交渉をしてくださっているのが組合ですね。ありがとうございます(笑)

宇治川 智大
言わせたみたいじゃないですか(笑)でも真面目な話、先ほど古里さんから質問にあった、ユニオンショップという形をとっている理由はこうした点にもあります。
全員加入でないと、全員を守れないんです。

古里 栞
納得しました。ずっと、なぜ任意じゃないのか引っかかっていたんです。

宇治川 智大
そういった組合員の方もいらっしゃると思います。今日は率直に聞いていただけてよかったです。

古里 栞
失礼を承知で聞かせていただきました(笑)
ちなみに粟田社長とはどのくらいの頻度で打合せされているんでしょうか。

宇治川 智大
労使協議会というのを月に一度行っています。

古里 栞
月一。頻度としては多いと認識していいですか?

宇治川 智大
多いと思います。ただ、多いというよりは、定期的に実施しているということの方が大事かもしれません。中には会社によっては社長が参加しないという会社も、あるようです。

古里 栞
そうなんですね。今のお話から会社にとって組合のプライオリティが高いことが感じられますね。
もうひとつ質問してもいいでしょうか?

宇治川 智大
どうぞ。

古里 栞
とりどねっとを拝見していると、海辺のごみ拾いや富士山の植樹活動など、環境活動も行われていますよね?
先ほどの労働条件闘争は“組合員のため“ということが理解できましたが、このような活動は直接的には会社にはつながっていないように思えるのですが、なぜそういった活動を行っているのでしょう?

宇治川 智大
そうですね。理由がわからないと組合費がなぜそこに使われているのか疑問に思われるはずです。
組合は“働く”ということを中心にものごとを考えます。
働くことによって生活をする、働くことによって社会へ貢献する、というように働くということを中心にすべての運動を行っています。

古里 栞
なるほど。

宇治川 智大
しかし働くということを続けていくためには大前提として、この地球や社会がないと働けないですよね?
私たちが生活しているこの地球、社会が、持続しないことには、働くことができなくなってしまうのです。だから地球へ、社会への貢献も大切なのです。

古里 栞
そういった物事の考え方はしたことがなかったです。その視点から考えると納得です。
環境活動に参加される方は多いのでしょうか?

宇治川 智大
多くの組合員が参加されますよ。このあいだの富士山の植樹活動には九州地方や広島などの遠方から来てくださった方もいました。

古里 栞
えー、すごいですね!

宇治川 智大
こういったボランティアって興味はあってもきっかけがないとなかなか参加しないじゃないですか。ですので、組合の活動がひとつのきっかけになればいいなと思っています。
そして、一緒に活動した人に繋がりができて、それが全国各地で働く組合員同士に広がって仕事のやりがいになって欲しいです。

古里 栞
いいですね。しかもすごく楽しそうだ。

宇治川 智大
組合がどんな活動を行っているかをもっとたくさんの人に知ってもらう必要があると感じています。

古里 栞
今日お話しを聞いて、トリドールで働く上で知らなければならないと思いました。

宇治川 智大
組合は、労働条件闘争への取り組みや、ボランティア活動だけでなく、ほかにも様々な取り組みを行っております。
組合は敵ではなく組合員のみなさんを守るために存在しています。
少しでも組合の活動に興味を持っていただき、一緒に考えていってほしいと思います。

古里 栞
組合費が破格ということは今日のお話でとてもよく理解しました。(笑)

宇治川 智大
ご理解いただけてよかったです。(笑)でも本当に疑問がひとつでもあれば今回のように言っていただいてかまいません。私たちだけでは気づけないこともあると思います。
全組合員で、働く環境を一緒により良いものにしていき、トリドールを世界一ハッピーな職場にしていきましょう。
労働組合が賃金以外に過去行った労働条件闘争
- 通勤交通費
- 寒冷地手当
- 従業員優待券
- 年末年始手当
- 児童教育手当
- 確定拠出年金制度
- キャリア給(PS用)
- タイムカード1分制度
- 特別休暇(リフ休)
- 忌引き休暇
- 再雇用年齢上げる
労働条件闘争を初めとして組合員の意見から、過去多くの制度を導入しています。
制度の導入と聞くと大仰な感じがしますがきっかけはどれもひとつの声から。
多様化が進み時代も変わりました。社員一人の声から時代に合った、トリドールに合った、新しい働き方が今後も生まれるかもしれません。

編集古里 栞
編集局編集長/ 2013年、大学卒業後化粧品会社へ入社。ビューティーアドバイザーとして新宿某百貨店にて勤務。トリドールへは2016年に入社し、大卒採用に3年半従事。その後組織戦略課へ異動し、ブランディング強化策として本メディアを立ち上げる。メディア視点で組織を強化し、より強固なブランドにすることを目指す。