粟田貴也 株式会社 トリドールホールディングス 代表取締役社長(写真左)
山口寛 株式会社 丸亀製麺 代表取締役社長(写真右)

新型コロナウイルス(以下、「コロナ」)の感染拡大の影響により、飲食業界は未だかつてない打撃を受けている。日々状況が変化する中で、少しでもお店を守るための策としてテイクアウトやデリバリーへとシフトする飲食店が急増した。そんな中、丸亀製麺では、テイクアウト対象商品は依然天ぷらのみであった。
しかし、2020年5月27日(水)より順次、全国の店舗でうどんのテイクアウト販売を開始した。今、このタイミングでうどんのテイクアウトに踏み切ったのはなぜなのか。
トリドールホールディングス執行役員 鳶本取締役と共に、トリドールホールディングスの粟田社長と丸亀製麺の山口社長に、その思いと今後の展望について伺った。

いずれ衰退すると言われても“他に真似できない価値”を信じ抜いた background color red

逸見:軽減税率を追い風に、コロナ感染拡大以前より外食の中食産業への参入が加速していたことをどのように捉えていたのでしょうか。

粟田:正直、軽減税率はかなり意識しました。お持ち帰りでは税率8%、イートインでは10%となってしまい、わずか2%ではあるものの、大規模に展開する我々にとってはかなりの打撃を受けるのではないかと捉えていました。デリバリーサービスも急速に拡大していく中で、変わりゆく世間のライフスタイルに対応しなければという考えはもちろんありました。
以前から我々には、「機械に頼らず手づくり・できたてにこだわって多店舗展開していくというのは無理だ。ある一定までは展開できても、いずれ衰退する」と、散々言われましたね。それでも、「他に真似できない価値」にこそ勝機があると信じてきたからここまで来ることができました。これは、業界の奇跡だと言われています。ですから、世間のライフスタイルが変化したとしてもこのこだわりは貫きます。
今回のテイクアウトに関しても、うどんの分野で勝負するのは難しいと考えている人が多いと思います。しかし、この価値を信じてもう一度奇跡を起こして見せます。「テイクアウトと言えば丸亀製麺」と言われるくらいになりますよ。

テイクアウトの目的はコロナ打撃のカバーではない

逸見:コロナ感染拡大が目の前に迫ってきた頃から、飲食店がテイクアウト市場に続々と参入していました。そんな中、丸亀製麺はなぜこのタイミングでうどんのテイクアウト全店開始に踏み切ったのでしょうか。

粟田:その頃より、もちろん我々も売上回復のために策を打つ必要性は重々感じていました。しかし、今回のテイクアウトについては、そもそもコロナで減少した売上をカバーしようという考えではありませんでした。実はかなり前から、丸亀製麺のうどんが一番美味しくお持ち帰り出来る為の「テイクアウト専用のお持ち帰り容器」の選定を、大手包材メーカ—協力のもと、取締役の神原さん、SCM本部のメンバーと進めていました。今回は、その容器を使ったテイクアウトがやっと実現出来るという次第なのです。

山口:その通りですね。容器に加えて麺のクオリティを維持することについても以前より試行錯誤を繰り返してきました。

麺匠とともに茹で時間や麺しめの工程など様々な検証を踏まえ、お持ち帰りでも「できるだけ店内でお召し上がりいただく場合と変わらない食感や温度」を実現する為に、オペレーションなども考えていました。他の飲食店がテイクアウトに次々とシフトしていく中でも特に焦りはなく、納得いくまで検証した上でGOサインを出しました。

鳶本:この時代、テイクアウトを開始しようと思えば、簡単に始められますからね。美味しさを保持するために添加物を加えることだってできる訳です。でも我々の思いは、手づくり・できたてに加え、安心・安全を提供することですからね。

粟田:国産小麦にこだわってきたこともそうですね。このような状況になった今、安心・安全といった面も含め、我々には他に真似できない価値を提供する使命があると改めて実感しています。

これで終わらない。“丸亀体験”を愉しむための研究は進行中

逸見:先行導入した店舗のうどんテイクアウトに対して、お客様からお褒めの声や、全店実施を心待ちにしているという声が挙がっていたようです。
一方で、店舗のスタッフからは、今までは店内で、できたてをその場でお召し上がりいただくことにこだわってきたのに、といった不安の声もあったようですが・・・

鳶本:実際にテイクアウトのうどんを食べてみて、これまで何度も丸亀製麺のうどんを食べてきた私でもその美味しさに改めて気づきました。今まではスーパーやコンビニのうどんで満足していましたが、家でこんなにもおいしいうどんが食べられるのかと驚きましたからね。家で食べるうどんの概念が変わりました。なので、消費者がテイクアウトに求める「“家では食べられないクオリティ”や“できたて”が感じられる美味しいものが食べたい」という本質的価値を提供できるのではないでしょうか。店舗スタッフからの不安の声に関しては、国内で800店以上展開している業態であるのに、社員に限らずパートナースタッフさんも「手づくり・できたての美味しいうどんを提供したい」というこだわりを持っているということです。これって素晴らしいことではないでしょうか。

山口:そうですね。お客様、店舗スタッフ共にそのような声をいただけるのは、理念の浸透に尽力してきたからだと思います。本当においしいものを提供したいという譲れない思いを第一に伝えてきましたから。それが社内の隅々にまで行き届いていたのではないかと感じています。ただ、これで満足してはいられません。店舗スタッフからの「もっと美味しいものを」という声は私にも届いています。
これまでも試行錯誤を重ねてきましたが、今もなお研究を重ねているところです。テイクアウトでもっと美味しく食べられるうどんの研修やテイクアウト専用商品の開発、新しいテイクアウトの形(うどん玉と出汁のセット)や食べ方提案などを通じ、“丸亀体験”をお家(おうち)でも愉しんでいただきたいです。

画像2: “手づくり・できたて”にこだわり続けてきた丸亀製麺。うどんのテイクアウト全店開始に踏み切った思いとは。

粟田:山口さんが牽引して本当に頑張ってくれていますからね。テイクアウトでこれまで以上に丸亀製麺の勢いが増しているように感じます。これは、目に見える単なる店舗拡大ではなく、お客様の心の中に丸亀製麺を展開し、醸成させるようなブランディングが成果として現れたのではないでしょうか。ただ、まだ始まったばかりですね。これから全店に導入し、成功へと導くことは決して簡単ではありません。恐らく今までになかったようなことが起こりますよ。
しかし、何に関しても変化することを恐れてはいけません。というのも、変化にリスクはつきものです。そこをチャレンジしていかなければ進化できませんから。

ハイブリッド業態の先頭を切り、世界のリーディングカンパニーへ

逸見:中食市場への参入が拡大する中、今後の丸亀製麺のテイクアウト事業は、トリドール全体の中でどのような位置付けを目指すのでしょうか。

鳶本:まず、今は、イートインがベースでテイクアウトも可能という感覚ですが、今後はイートインorテイクアウトといった選択肢として捉えられるようになることを目指したいですよね。

山口:そうですね。うどんのテイクアウトではなく、丸亀製麺のテイクアウトですね。丸亀製麺=お店で食べるもの」という認識から、「丸亀製麺をどんな方法で愉しむか」という認識を確立させていきたいですね。
コロナの感染拡大によって、外食に対する消費者のマインドやニーズ、購買行動が大きく変化しています。「店内」と「テイクアウト」消費者の求める2つのニーズに応えていくことが今後の成長にとって不可欠だと思っています。事業の一つとして、新たな価値を生み出したいと考えています。

粟田:中食と表現するとなんだか簡易的で、心から食を愉しむイメージに欠けるように感じますが、丸亀製麺のテイクアウトは別物だと考えていただきたいですね。
海外では、ファストフードの「早くて安い」とカジュアルダイニングの「質の高い料理」を備えたファストカジュアルというハイブリッド業態が存在します。特にアメリカではそれが一般的となってきています。日本にも需要があると考えており、我々はそのファストカジュアルとして先頭を切って展開してきました。テイクアウトにおいても、トリドールであればその価値を提供できるでしょう。

画像3: “手づくり・できたて”にこだわり続けてきた丸亀製麺。うどんのテイクアウト全店開始に踏み切った思いとは。

コロナの影響もあり世界の食のシーンが急速に様変わりしている中、この「変化」を捉えることが求められます。しかし、変化しなければならないことと、変化してはいけないものがあります。例えば「人のぬくもりが感じられる手づくり・できたて」へのこだわり、思いの部分はブレてはいけません。
トリドール全体として、今後はまずコアである丸亀製麺が実践し、そのノウハウを他のブランドに伝播させることで、我々はじわじわと世界のリーディングカンパニーに近づいてきていきます。

画像4: “手づくり・できたて”にこだわり続けてきた丸亀製麺。うどんのテイクアウト全店開始に踏み切った思いとは。

編集逸見 理紗子

編集局/株式会社トリドールホールディングス 組織戦略課所属。 トリドールの”手づくり・できたて”へのこだわりとチャレンジ精神に惹かれ、2019年に新卒で入社。 Kona'sCoffeeでの営業、本部での営業サポートを経て組織戦略課へ。 /toridollのコンテンツ企画・編集の他、社内イベントの企画などのインターナルコミュニケーションを担当している

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